「豆苗」は、1パック100円前後と価格が安定している、家計に優しい野菜です。自宅で手軽に再生栽培ができることでも知られています。国内シェアトップの村上農園(本社・広島)が、豆苗の発売30周年を記念して出版した『トップメーカーだから知っている 永久保存版 豆苗 完全攻略本』(アスコム)には、とっておきのレシピや再生栽培のコツなど、豆苗に関する知識が詰め込まれています。
豆苗の歴史と栄養価
村上農園が豆苗を発売したのは1995年。主力商品だった「カイワレ大根」がO157による集団食中毒の風評被害で打撃を受ける中、会社の窮地を救ったのが豆苗でした。同社では、生産、営業、研究、広報などの部署を横断したプロジェクトチーム「村上農園豆苗研究会」を結成。「豆苗大好き」な社員が集まり、豆苗のおいしさや魅力をホームページなどで発信してきました。
「豆苗は、エンドウ豆の発芽したばかりの若菜です。βカロテンが豊富なことから緑黄色野菜に分類され、たんぱく質も多く含み、豆と緑黄色野菜の良いとこどりです。骨の形成を助けるビタミンKや、赤血球の形成を助ける葉酸も摂取できるので、女性に特に食べてほしい野菜です」と、同研究会メンバーで広報マーケティング室室長代理の松井真実子さんは強調します。
本書では、豆苗はエンドウ豆が発芽したばかりの若菜であり、エンドウ豆は開花後、サヤエンドウ(きぬさや)、スナップエンドウ、グリーンピースとしても食べられることを説明。収穫のタイミングと食べる部分の違いによって呼び方も変わります。松井さんは「豆苗はそういう意味で『出世野菜』。エンドウ豆には様々な品種がありますが、当社の豆苗は甘みとやわらかさがある赤エンドウ豆を使用しています」と話します。
ハイテク工場で安定生産
豆苗には太陽の光をたっぷり浴びせる必要があるため、同社では「日照時間日本一」と言われる山梨県北杜市の太陽光型植物工場で栽培。日差しに合わせてカーテンが動き、重い苗床が全自動で移動する「ムービングベンチ」などの最新設備が導入されたハイテク工場で、1年を通じて天候に左右されず、安定した価格と品質を維持しています。
2大看板レシピ:肉巻きとみょうたま
アク抜きの必要がなく、キッチンバサミで切ってそのまま調理できる豆苗は、「手間なし・時短・簡単」が最大の魅力。同社の公式サイトには約250種類以上のレシピが公開されていますが、本書には新たに考案された50種類のレシピが収録。おすすめは、シャキシャキ感を味わうサラダなどの生食のほか、電子レンジで調理可能な「肉巻き」と、卵と別々に炒めて混ぜ合わせる「みょうたま」の「2大看板レシピ」です。
肉巻き
豆苗を肉で巻いて電子レンジで加熱するだけの簡単調理法。料理の経験がなくても作れ、見栄えが良くボリュームもあるため、夕食のメインおかずとして重宝。つけるタレによって味変も楽しめます。
みょうたま
豆苗と卵を炒めた「ふわとろ炒め」。豆苗と卵は相性が良く、社員が「まずこれを作ってほしい」と太鼓判を押すメニュー。フライパンで先に卵を半熟状に炒め、いったん取り出し、豆苗を炒めてから卵を戻し入れて合わせるのがふわふわに仕上げるコツ。炒め油を替えると中華風やイタリアンにもなります。
このほか、阿佐ヶ谷姉妹の渡辺江里子さんが「プライベートでもいつも作っている」と語るお気に入りレシピ「サバ缶チーノ」(サバ缶と豆苗で作る手軽なペペロンチーノ)も紹介。さらに、せいろで蒸して豆苗のうまみを凝縮させる調理法や、豆苗をブレンダーでペースト状にして蒸しパンやスイーツに使うレシピも掲載されています。
プロが教える再生栽培の3つのポイント
自宅で豆苗の再生栽培をしている人も多いでしょう。村上農園が教える再生栽培のコツは以下の3点です。
- 切る位置:根元にある「脇芽」という小さな葉を二つ残してカット。ここから新しい茎が成長するため、残すことで収穫量が増えます。
- 水の管理:水に豆がつかると傷みやすくなるため、水の高さは根の半分くらいに。菌の繁殖を防ぐため、塩素が含まれる水道水を使い、毎日(夏は1日2回)新しく水を入れ替えるのがベスト。
- 置き場所:日光を浴びせて光合成させるため、「窓辺の明るい室内」が最適。外だと虫がつく心配があり、暗い場所だと黄色く細く育ちます。
「1週間ほどで再収穫できます。買ってきたときに味わうのが1回目とすれば、再生栽培は3回目までがおすすめ。4回目以降は豆の栄養が少なくなるので、茎が細くなります」と松井さん。記者も自宅で再生栽培をしていますが、松井さんから栽培のコツを聞きながら、「水をつぎ足すのが豆が傷む原因だったのか」「ひょろひょろと伸びてしまったのは光が足りないせいだったのか」と反省しました。
さらに、松井さんは「買い求めるときには、緑が濃く、葉が開き、先がピンとしているものを。パックの中で育ちすぎて不ぞろいになっているもの(収穫から時間が経過したもの)よりも、高さがそろっているもののほうが新鮮でおいしいです」とアドバイス。
知っているようで知らなかった豆苗の知識。ぐんぐん育つ再生栽培を楽しんで、毎日の暮らしに彩りを添えられたらいいですね。(読売新聞メディア局 永原香代子)
基本の肉巻きレシピ
電子レンジ調理で簡単。たれで味に変化をつけることもできます。
豆苗肉巻き 材料(2人分)
- 豆苗…1パック
- 豚バラ薄切り肉…6枚
- 塩、コショウ…各少々
- 炒りごま…少々
- ぽん酢しょうゆ…適量
作り方
- 豆苗は水洗いして根から切り、水気をきって半分の長さに切る。
- 豚肉に塩、コショウをふり、豚肉1枚の端に1の6分の1量の豆苗をのせて巻く。残りも同様に。
- 耐熱皿に2を巻き終わりを下にして並べ、ふんわりラップをかけて電子レンジで4分30秒加熱する。
- 皿にのせてごまをふり、ぽん酢しょうゆを添える。※ぽん酢しょうゆの代わりに、ごまドレッシングやスイートチリソースもおすすめ。
【参考サイト】村上農園豆苗研究会



