110年前と変わらぬ手仕事、注染一筋の「伊勢保染工所」
110年前と変わらぬ手仕事、注染一筋の伊勢保染工所

110年前と変わらぬ手仕事、注染一筋の「伊勢保染工所」

東京都江戸川区にある「伊勢保染工所」は、今年で創業110年を迎えた。屋号の「伊勢保」は、職人・伊藤匠さん(46)の曽祖父にあたる初代・保太郎さんの名前と、出身地である三重県伊勢地方に由来する。1953年(昭和28年)に現在の場所に移って以来、注染(ちゅうせん)という技法だけで生計を立ててきた。

注染技法の特徴

注染は明治初期に生まれた染色技法で、「ヤカン」と呼ばれる容器から、生地に置かれた型枠に染料を注ぎ込む。この方法により、生地の両面を同じ色・柄に染められるのが特徴だ。手ぬぐいや浴衣の生地などを中心に生産している。

職人たちの手作業

染色前の生地を整える干場、のりを塗って型付けをする板場、染色を行う紺屋、水洗いで余計な染料やのりを落とす水元、乾燥までの工程を、職人たちが分担して行う。約80度に熱された染料は湯気を上げ、染め上がった反物は水しぶきを立てて洗われ、天日干しされて風に揺れる。令和の現代でも、1世紀前と変わらない手仕事が続いている。

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注染工場の減少

最盛期の昭和30年代には、都内と関東近郊に約100軒あった注染の工場は、現在では10軒を下回る。伊藤さんは「今も家業を続けられているのは、他の事業に手を広げずに注染一本にこだわり続けたから」と語る。

商品情報

伊勢保染工所で染め上げられた手ぬぐいは、都内の店舗などで購入できる。写真の手ぬぐい「凱風快晴」(2750円)は、「アート蒼」の直営店やオンラインショップで販売中。問い合わせは直営店(電03-3405-0161)へ。

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