政府、武力攻撃に備えた緊急シェルター確保へ基本方針案を策定
政府は、他国からの武力攻撃に際して国民の避難先となる「緊急一時避難施設」(緊急シェルター)の確保に向け、新たな基本方針案を月内にも閣議決定する見通しだ。この方針案の概要が明らかになり、地上の建物よりも安全性が高い地下施設のさらなる活用を柱としている。北朝鮮の核・ミサイル開発やイラン情勢の悪化を踏まえ、不測の事態に備えた体制整備を急ピッチで進めている。
民間地下施設の活用促進が焦点
緊急シェルターの確保は国民保護法に基づいており、ミサイル攻撃の爆風などから身を守るため、政府は1~2時間程度の避難先となる頑強な施設を指定するよう都道府県などに求めている。昨年4月時点で全国に6万1142か所のシェルターが存在するが、そのうち地下施設は約7%の4233か所に留まっている。学校や官公庁の庁舎など公共施設が全体の約9割を占めており、民間の地下施設の確保が大きな課題となっている。
このため、基本方針案には以下のポイントが盛り込まれている:
- 地下鉄の駅舎や地下街、地下駐車場といった民間施設を緊急シェルターとして確保する方向性を明確化。
- 事業者の協力を得るための具体策として、大規模建築物の容積率緩和などの奨励策や表彰制度の創設を検討。
- 緊急シェルターの人口あたりのカバー率について、従来の都道府県単位から市区町村単位に変更し、全市区町村でのカバー率「100%」を目標に掲げる。
都市部の昼間人口増加に対応
都市部では働く人や学生が集まるため、日中は人口が大幅に増加する。昼間人口を基準にした人口カバー率は、東京都内の港区や渋谷区、千代田区などで5割に満たないとされており、地下施設を避難先として求める声が高まっている。政府は、住民が迅速な避難行動を取れるよう、民間の防災アプリとの情報連携を進め、緊急シェルターの知名度向上を図る計画だ。
国際情勢を背景に備え強化
政府が緊急シェルターの確保を急ぐ背景には、軍事力を急速に増強する中国やミサイル発射を繰り返す北朝鮮の脅威がある。また、2月28日に始まった米国とイスラエルによるイラン攻撃では、反撃も含め、中東各国の国民がミサイル攻撃から逃れるため避難施設に駆け込む様子が報じられ、国際的な緊張の高まりを印象付けた。
日本でも有事の際の対応を強化するため、イスラエルなどの取り組みを参考に、核攻撃にも対応できるシェルターの調査研究に着手する。政府は、月内にも基本方針案を閣議決定し、国民保護体制の整備を加速させる方針だ。



