H3ロケット、6月にも試験機で打ち上げ再開へ 8月から衛星搭載で本格運用を目指す
打ち上げ失敗により運用が停止されている政府の基幹ロケット「H3」について、政府と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9日、6月にも試験機の打ち上げを再開する方針を固めました。8月以降は2カ月おきに人工衛星を搭載して飛行させ、本格的な運用の再開を目指す計画です。
昨年12月の失敗で官民ともに輸送手段が途絶える
H3ロケット8号機は昨年12月22日、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられましたが、第2段エンジンの燃焼が予定より早期に停止し、搭載していた準天頂衛星「みちびき5号機」の軌道投入に失敗しました。この衛星は「日本版GPS(全地球測位システム)」と呼ばれる重要な役割を担うものです。
さらに今年3月には、民間ロケット「カイロス」3号機も打ち上げに失敗したため、日本は現在、官民ともに衛星を宇宙へ運ぶ手段がない状況に陥っています。この間、国内外からの衛星打ち上げ需要を取り逃しているだけでなく、近く予定されている複数の政府衛星の打ち上げ計画も危ぶまれていました。
6月に試験機で失敗原因を徹底検証
再開となる打ち上げはH3ロケット6号機で、6月にも実施される見込みです。この機体は主エンジン3基に対し補助ブースターがない「30(さんぜろ)形態」と呼ばれる試験機で、製造コストの低さが特徴です。8号機の失敗以前から、2026年度中の打ち上げが予定されていました。
6号機は本物の衛星を搭載しない試験機として、8号機の失敗原因を詳細に検証する役割を担います。具体的には、欠陥が発見された衛星の台座について、強度を向上させたものを取り付け、飛行中の挙動を確認します。また、台座破損のきっかけとなった、衛星を覆うカバー(フェアリング)を分離する際の衝撃についても、センサーを取り付けて詳細なデータを収集する計画です。
政府衛星の打ち上げ計画が順番待ち状態に
これらの打ち上げ再開計画は、13日に開催される文部科学省の専門小委員会に諮問されます。H3ロケットの早期再開が急がれる背景には、政府衛星の打ち上げ計画が複数控えており、順番待ち状態になっていることが挙げられます。日本の宇宙開発戦略において、信頼性の高い輸送手段の確保は喫緊の課題となっています。
試験機での検証を経て、8月以降は2カ月おきのペースで人工衛星を搭載した打ち上げを実施し、段階的に本格運用を再開する方針です。これにより、日本の宇宙産業の競争力回復と、衛星を利用した様々なサービスの継続的な提供が期待されています。



