米中は「不安定な安定」へ 東西冷戦のデタントが教える脆弱性
米中は「不安定な安定」へ 東西冷戦の教訓

米中首脳会談が示す新たな局面

2026年5月15日までの2日間、北京で開催された米中首脳会談は、グローバル化の反転を象徴してきた両大国の関係が、「不安定な安定」とも呼べる段階に入ったことを印象づけた。トランプ米大統領は帰国の専用機内で記者団に対し、「関税については議論していない」と明かし、関税や輸出規制といった経済摩擦の核心には踏み込まなかった。

貿易戦争の休戦延長

今回の会談では、米中経済関係の棘となっていた関税や輸出規制に関して、両国ともに目立った新たな措置を控えた。これは昨年10月の前回首脳会談で合意した「貿易戦争の休戦」を事実上延長するものであり、さらに両国は対話の枠組みをAI(人工知能)の安全管理にまで拡大しようとしている。

米側が重視したとされる「五つのB」、すなわち中国側によるボーイング機、牛肉、大豆の購入、そして投資と貿易の両委員会の設立のうち、少なくともボーイング機と大豆の購入については取引が成立したと伝えられている。トランプ氏は機内で「たくさんのディールができた。ボーイングの飛行機を200機、最大750機の約束もした。史上最大の受注だ」と誇らしげに語った。

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東西冷戦のデタントとの類似性

二つの超大国が決定的な対立を避けつつ、当面の安定を演出する構図は、東西冷戦が1970年代に一時的な緊張緩和を迎えた「デタント」と重なる部分がある。当時、ベトナム戦争で疲弊した米国と深刻な経済停滞に直面したソ連は、根底にあるイデオロギーと価値観の対立を棚上げにしたまま、核戦争による相互破滅を避けるためのガードレール(防護柵)を設けた。

具体的には、第一次戦略兵器制限条約(SALT1)による戦略兵器の数量管理や、ソ連への大規模な穀物援助などが行われた。敵対関係を認めながらも、共存を模索する手を打ったのである。

現代の「デタント」の脆さ

しかし、歴史が示すように、デタントは永続的な平和をもたらすものではなかった。根底にある対立が解消されないまま進められた緊張緩和は、後に再び激しい対立へと逆戻りする脆弱性を抱えていた。現在の米中関係も同様の危険性をはらんでおり、力任せの関税政策が裏目に出たトランプ政権は、転換を迫られていると言える。

今回の首脳会談で成果が乏しかったとされる一方、中国側は自信を深めたとの見方もある。両国の間には依然として多くの火種がくすぶっており、通商面での融和演出がいつまで持続するかは不透明だ。

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