サッカーワールドカップ(W杯)北中米大会の開幕を十日後に控えたメキシコ市で一日、公立学校の教職員が待遇改善などを求める大規模なデモが行われた。政府が要求に応じなければW杯を妨害すると訴えており、大会への影響が懸念されている。この日はデモ隊の一部が暴徒化し、市中心部が一時騒然となった。
「W杯をボイコット」の横断幕
目抜き通りにある独立記念塔の下には、「W杯をボイコット!」と書かれた大きな横断幕が掲げられた。デモには地方から集まった教職員ら数千人が参加。「現在の待遇では生活できない」などと訴え、給与の大幅な引き上げや年金制度の改善を求めて市内を練り歩いた。
開催への疑問の声
W杯開幕が近づくなか、市内ではあちこちでサッカーをモチーフにした装飾や看板が目につき、大会への期待が高まる様子がうかがえる。ただ、貧困や犯罪の多発、不十分なインフラなどを理由に、国内には巨額を投じて開催することを疑問視する声もある。デモ会場付近では、巨大な広告に「解決がなければ、ボールは転がらない」という落書きも見られた。
急進的な教職員組合が主催
デモを主催した教職員組合は、主流派から分裂した急進的な組織として知られる。先住民が多く経済的に貧しい南部の州での基盤が強い。これまでも大規模なデモやストライキのほか、座り込みによる主要道路の封鎖で交通をまひさせるといった激しい抗議活動を行ってきた。今回のデモでは、一部参加者が鉄パイプや金づちを手に車を破壊するなどの暴徒化が見られ、当局が催涙ガスを発射して対応する場面もあった。
組合側はW杯で世界の目がメキシコに集まる機会を利用し、政府に圧力をかける戦略。要求が受け入れられなければ、試合会場周辺での抗議活動や交通妨害など、大会運営に直接影響を与える行動も辞さない構えだ。
W杯共催の混乱
今回のW杯はメキシコ、アメリカ、カナダの3カ国共催という異例の形態で開催される。メキシコは過去に1970年と1986年のW杯を単独開催した経験があるが、今回は治安やインフラ面での課題が指摘されている。デモの激化により、開幕前から混乱が広がっている。



