三井化学がエチレン生産を減産 中東情勢悪化で原料調達リスクに対応
三井化学は3月10日、千葉県市原市と大阪府高石市の工場にあるエチレン生産設備計2基で、今週から減産を開始したことを明らかにしました。この決定は、中東情勢の悪化に伴い、原料となる原油由来のナフサが調達難になる事態に備えるための予防措置として位置づけられています。
減産規模と実施期間は未定 中東以外からの調達も検討
具体的な減産の規模については公表されておらず、実施期間も未定とされています。同社は中東地域以外からナフサの調達を増やすことも検討しており、供給網の多様化を図る方針です。この動きは、国際的な地政学リスクが高まる中、化学メーカーが事業継続性を確保するための戦略的対応として注目されています。
エチレンの重要性と日本のナフサ依存構造
エチレンはプラスチックなどの原料となる基幹素材で、食品包装や半導体など幅広い製品に加工される不可欠な化学物質です。日本は主原料のナフサの約60%を輸入に依存しており、輸入先はアラブ首長国連邦(UAE)やクウェート、カタールなど中東地域が約70%を占めています。この高い依存度が、中東情勢の変化に敏感に反応せざるを得ない背景となっています。
業界全体に広がる減産の波 三菱ケミカルも同様の措置
三井化学に先立ち、三菱ケミカルも3月6日からエチレンの減産を実施しています。両社の動きは、化学業界全体が中東を中心とした供給リスクに直面していることを示しており、今後の情勢次第ではさらなる生産調整が行われる可能性も懸念されています。ホルムズ海峡を通過する石油タンカーの安全確保が、日本の化学産業にとって重要な課題となっています。
今回の減産は、単なる一時的な生産調整ではなく、長期的なサプライチェーンの脆弱性を浮き彫りにする出来事です。企業は中東依存からの脱却を模索しつつ、安定供給の確保に努めることが求められています。今後の情勢推移によっては、プラスチック製品をはじめとする関連業界への影響が拡大する可能性も指摘されています。



