深掘り迫る「令和のオイルショック」 政府対応、過去の教訓ゆえちぐはぐに
2026年4月5日 6時00分
海路で1万キロ以上離れた海峡封鎖の余波が、日本経済にじわりと押し寄せている。原油の9割をホルムズ海峡経由で輸入していた日本にとって、すべてをカバーできる調達先の確保は簡単ではない。私たちの身の回りは石油関連製品であふれている。備蓄はあと230日とちょっと。「油のない」世界がやってくる可能性はあるのか。
ガソリン価格の高騰と政府の対応
長野県のガソリンスタンドでは、レギュラーガソリンが1リットルあたり200円になった。この価格上昇は、イラン情勢の緊迫化に伴うホルムズ海峡の事実上の封鎖が直接的な原因だ。世界中で原油の供給不足が広がる中、中東に原油の9割を依存する日本は特に深刻な影響を受けている。
「値段を上げて需要を抑える?そんなの経済全体に影響が出る。節約要請、石油危機をあおるようなことをしてはだめだ」3日、官邸幹部はガソリンなどの需要を抑える政策の可否を聞かれて不快感を示す一方、現状や見通しは楽観的であることを強調した。「(調達は)大丈夫だ」と述べている。
石油製品の重要性と調達課題
石油由来の製品は今や、私たちの日々の暮らしや企業の生産活動のありとあらゆるところで使われる。石油を精製したガソリンや軽油は車やバスなどの燃料に。同じく精製されたナフサは様々な石油由来の化学品となり、ペットボトルや食品包装、衣料、医療器具、自動車部品などに姿を変え、人々の日々を支える。
しかし、調達先の切り替えには課題が山積している。量も日程も確保が難しく、ナフサ価格は2倍近くなる予測も出ている。過去のオイルショックの教訓があるにもかかわらず、政府の対応はちぐはぐだ。備蓄放出の効果や中東以外の調達先の確保について、明確な戦略が見えない。
国際情勢の緊迫化と日本の立場
ホルムズ海峡の封鎖は、イラン情勢の緊迫化に端を発している。トランプ氏の演説は戦略的「誤算」を露呈し、危機の打開策を示せていない。親イランのフーシ幹部は、原油輸送の代替ルート封鎖を「選択肢」として示唆している。
このような状況下で、日本は独自の外交ルートを通じた調達先の確保を急ぐ必要がある。しかし、米軍機着陸を拒否したイタリアとの違いが指摘されるように、日本の選択肢は限られている。エネルギー安全保障の観点から、長期的な対策が求められる。
経済への波及影響と今後の見通し
石油危機は単なる燃料価格の問題ではない。企業の生産活動や家計の支出に広く影響を及ぼす。水道料金の地域格差拡大や、納豆輸出の「爆発的伸び」といった経済動向にも、間接的な影響が現れ始めている。
政府は楽観的な見通しを示すが、専門家の間では慎重論が強い。備蓄230日分という数字は、調達が順調に進まない場合、あっという間に底をつく可能性を示している。過去の教訓を生かし、需要抑制策を含む総合的なエネルギー政策の再構築が急務だ。



