石油協調放出は米国主導か、秋の大統領選前に物価高対策でG7が連携
石油協調放出は米国主導か、選挙前の物価高対策で

石油協調放出の背景に米国の強い意向、選挙前の物価高対策が焦点

先進7か国(G7)が現在検討している備蓄石油の協調放出は、原油価格の高騰を懸念する米国の意向を強く受けて実施される見通しだ。国際エネルギー機関(IEA)の枠組みを通じて32か国が参加するこの取り組みは、世界的な供給量の増加によって原油価格を抑制することを目的としている。しかし、市場関係者の間では、中東地域の紛争が収束しない限り、中長期的に価格が高止まりするとの見方が根強く存在している。

IEAの備蓄ルールと各国の現状

IEAは加盟国に対し、輸入量の90日分以上の石油製品在庫を確保することを義務付けている。2025年11月時点の備蓄状況を見ると、英国が120日分、韓国が214日分など、各国でばらつきが見られる。基本的なルールとして、加盟国全体または一部で供給不足が生じた場合に、一定期間協調して備蓄を放出する仕組みが採用されている。

今回の協調放出検討において、米国が特に強い意欲を示しているとみられる背景には、秋に控えた大統領選挙が大きく影響している。トランプ政権は物価高を抑えて国民の支持を維持することに躍起になっており、同様に物価高対応に苦慮するG7の他の国々もこれに同調する構えだ。

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日本の石油備蓄と過去の放出実績

日本の石油備蓄は、2025年12月末時点で国家備蓄や民間備蓄などを合わせて計254日分に達している。国家備蓄の放出は入札を通じた売却によって行われる一方、民間備蓄については石油元売りなどに義務付けられる保管量を引き下げることで在庫を取り崩す手法が採用される。

日本は1979年以降、計6回にわたって備蓄を放出してきた。前回は2022年、ロシアのウクライナ侵攻を契機としたIEA加盟国の協調放出に参加し、国内需要の12日分に相当する計2250万バレルを放出した。当時は一時的に1バレル=100ドルを超える水準に達していたが、放出を機に価格が抑制される効果が確認されている。

中東情勢の影響と限定的な効果への懸念

しかし、備蓄の取り崩しはあくまで一時的な対策に過ぎない。現在、中東産油国が紛争地となっており、エネルギー海上輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上封鎖されている状況だ。イラン情勢が収束に向かわない限り、原油価格の高止まりが続くとの観測が強まっている。

野村総合研究所の木内登英氏は、「協調放出を行っても原油価格の上昇を持続的に抑える効果は期待できない。供給の支障が大きく緩和されない限り、原油価格は大きく下がらないだろう」と指摘する。中東地域の地政学的リスクが解消されない中、短期的な対策の限界が浮き彫りになっている。

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