南鳥島で核のごみ調査開始、国の「名指し」方式に疑問
原発から排出される高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の最終処分場選定において、日本最東端に位置する東京都小笠原村の南鳥島で、第1段階となる文献調査が3月に始まった。これまでの事例では自治体が自ら調査に手を挙げていたが、今回の南鳥島は経済産業省からの申し入れが発端となった初めてのケースである。
「手挙げ」方式の変遷
原子力発電環境整備機構(NUMO)は2002年から公募を開始し、自治体の自主的な手挙げを基本としてきた。しかし、2007年に高知県東洋町が住民の反対で撤回したことを契機に、風向きが変わった。寿楽浩太・東京電機大教授は、過去の原子力施設建設における住民合意の課題を踏まえ、手挙げ方式は「公明正大に受け入れてくれるところを募る方法」と評価する。一方で、原発立地自治体からは国主導の取り組みを求める声が上がり、今回の南鳥島への申し入れに至った。
国の説明責任
寿楽教授は、国が南鳥島を「名指し」した理由について、科学的特性マップで適地とされていることは認めつつも、同様の条件を満たす地域は全国に多数存在すると指摘。さらに、先行して調査に入った佐賀県玄海町や北海道の寿都町、神恵内村との扱いの差が生じる可能性を懸念する。「国が手挙げ方式を改めたのか、まずそこから説明すべきだ」と述べ、国民の関心低下を危惧する。
国は調査地を10カ所程度に増やす方針を示しており、今後も同様の申し入れが全国の自治体に行われる可能性がある。寿楽教授は、南鳥島があたかも有望地のように受け取られることで、問題への国民の関心が低下する懸念を表明している。



