自動車ごとの加入が義務付けられている「自動車損害賠償責任保険」(自賠責)の運用益を原資にした助成金について、助成事業を運営する日本損害保険協会(東京)が調べたところ、虚偽の報告で受給するなどの不正や不適切な事案が相次いで見つかった。協会はチェック体制がずさんだったとして再発防止策を徹底する。
不正が見つかったのは「自賠責運用益拠出事業」。自動車ユーザーらから集めた保険料の一部を運用して得た利益を原資に、交通事故の減少や医療の発展に役立つ活動に助成している。協会は2021~24年度に222の個人・団体に対し総額約70億円を助成し、そのうち不正・不適切な受給が9件発覚したと発表した。
協会によると、NPO法人「安全と安心 心のまなびば」(岡山市)は、高齢者の安全運転啓発などに使うとして、2023~24年度に1085万円を受給。しかし実際には事業をほとんど実施していなかった。協会には事業が進んでいるかのような虚偽の報告を行い、不正に助成金を受け取っていたという。
同NPOの元役員の男性は朝日新聞の取材に対し、「事業が思うように進まなかったのに、内容を膨らませて報告していた。やってはいけないことだった」と話した。
同NPOは2015年に設立され、交通関連の啓発活動を行っていた。慶応大医学部整形外科学教室では研究者6人が関与した事例も確認されている。
協会は再発防止策として、助成金の使途確認を強化し、報告書の内容を厳格に審査する体制を整える方針だ。また、不正が確認された団体に対しては、助成金の返還を求めるなどの措置を取る。



