ノーベル化学賞受賞者で島津製作所フェローの田中耕一氏(66)が、質量分析技術を応用した次世代医療機器の開発・販売を目的とする新会社「メディカル・マススペクトロメトリー」を設立したことが19日、分かった。田中氏は同社の最高技術責任者(CTO)に就任する。新会社は、田中氏が発明した「ソフトレーザー脱離イオン化法(MALDI)」を基盤とし、血液や尿などの微量サンプルからたんぱく質や代謝物を高感度に検出する装置を開発。これにより、がんやアルツハイマー病などの早期診断に貢献することを目指す。
設立の背景と狙い
田中氏は2002年、質量分析による生体高分子の同定法の開発でノーベル化学賞を受賞。島津製作所で研究を続けてきたが、医療応用への強い思いから、今回の新会社設立に至った。新会社は京都市内に本社を置き、資本金は1億円。島津製作所も出資し、技術面で協力する。田中氏は「質量分析技術を医療現場で広く使ってもらい、病気の早期発見につなげたい」とコメントしている。
今後の展開
新会社は、まずは2027年の製品化を目指し、臨床試験を開始する。将来的には、簡易検査キットの開発も視野に入れており、在宅医療や発展途上国での活用も期待される。医療機器業界では、質量分析技術を用いた診断装置の市場は年率15%で成長しており、新会社の参入は市場に大きな影響を与えるとみられる。
田中氏は、新会社のCTOとして技術開発を主導する一方、島津製作所のフェローも継続する。新会社の社長には、島津製作所の元執行役員である山田一郎氏が就任する。山田氏は「田中氏の卓越した技術を結集し、医療の未来を変える製品を提供したい」と意気込みを語った。



