傷ついた脳の回復を持続させる仕組みを解明、脳梗塞治療に期待
傷ついた脳の回復を持続させる仕組みを解明

脳梗塞などの病気で脳組織が傷つくと、その機能が失われて後遺症が残る。早期からのリハビリで一部の機能は取り戻せるが、やがて回復力は衰えていく。東京科学大や東京都医学総合研究所などの日独の研究チームは、発症から間もない時期に脳の機能が回復する仕組みを解明し、その後回復力が失われる原因となるたんぱく質を突き止めた。このたんぱく質の働きを抑える薬剤をマウスで開発し、ヒトに応用して脳の病気の後遺症を減らすことを目指す。研究成果は13日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表される。

脳梗塞後の回復メカニズム

脳梗塞などを発症すると、手足が動かなくなったり、言葉が出なくなったりする神経症状が出る。死んだ脳細胞は元に戻らないが、リハビリで一部の脳機能は取り戻せる。しかし、なぜ脳機能が回復するのか、やがて回復力がなくなるのかはよくわかっていなかった。

研究チームは、脳内で働くミクログリアという免疫細胞に注目。脳の損傷をきっかけに、ミクログリアが栄養物質を作り始め、脳組織の修復を促すメカニズムをマウスの実験で確かめた。

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回復力の消失とZFP384の役割

脳梗塞を発症したマウスでは、ミクログリアは約1カ月間栄養物質を作るが、やがて作らなくなり、2カ月後には回復力がなくなる。研究チームは、ZFP384というたんぱく質が働くことで、栄養物質を作れなくなる仕組みも突き止めた。

ZFP384を作れなくする遺伝子操作をしたマウスでは、ミクログリアが栄養物質を作り続け、脳の回復が長期間持続した。さらに、ZFP384の働きを抑える薬剤を開発し、マウスに投与したところ、同様の効果が確認された。

今後の展望

研究チームは、この薬剤をヒトに応用し、脳梗塞や頭部外傷などの後遺症を軽減する治療法の開発を目指す。東京科学大の七田崇教授は「脳の回復力を維持する新たな治療戦略になる」と期待を語る。今後、安全性や有効性を検証し、臨床応用へと進める計画だ。

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