薄く軽く曲げられる次世代太陽電池 三重県が導入促進へ
三重県は2026年度、薄くて軽く、曲げられる次世代の「ペロブスカイト太陽電池」の導入促進に向けた取り組みを強化する方針を明らかにした。従来の太陽光パネルと比べて低照度でも発電効率が高い特性を生かし、工場の外壁や屋内スペースでの活用を具体的に検証していく計画だ。地域経済の活性化につなげるため、関連部品の開発や設置工事など地元企業が参入できる領域を探る。
弱い光でも発電可能 災害時にも活用の可能性
「ペロブスカイトは室内光でも発電可能だ」「軽いので収納も簡単。災害時にテントの側面に貼れば携帯電話を充電できる」。県工業研究所(津市)で5日に開かれたセミナーで、ペロブスカイトの研究に取り組む京都大学化学研究所の若宮淳志教授がその利点を強調した。
このセミナーは県が主催し、製造業関係者ら100人余りが参加。若宮教授は従来のシリコン型太陽光パネルについて「安くて耐久性があり否定する気はない。だが、重い。曇りや朝夕など照度が落ちると発電効率が途端に下がってしまう」と指摘した。
工場の未活用スペースで実証実験を計画
県はペロブスカイトの「弱い光でも発電できる」という特性に着目している。新年度から県内企業と連携して製造現場への導入可能性を探る。薄型・軽量という強みを生かして、耐荷重が低い工場の屋根や垂直の壁面、屋内スペースで実証実験し、発電能力を確認する予定だ。
県工業研究所の担当者は「これまで未活用だった場所に多く設置できれば、工場全体の省電力化につながる」と期待を寄せる。特に三重県内には製造業が集積しており、工場施設のエネルギー効率向上に大きな効果が期待されている。
産業育成も視野 地元企業の参入機会を拡大
県は施設への導入支援だけでなく、産業育成も視野に入れる。ものづくり産業が盛んな県内では、電池を水分などから守る「封止材」の開発や施工、メンテナンスといった周辺分野でも地元企業が参入するチャンスがあるとみている。
ペロブスカイトの現在地は発電性能や耐久性が保証された製品を安価に大量生産する前段階で、コストの高さが普及の壁だ。耐久性向上や、強風、地震の揺れによる落下・飛散への安全対策も課題とされる。
県新産業振興課の担当者は「コスト面からまだまだ静観せざるを得ない企業も多い。大量生産が可能になった段階で本格的に動けるよう準備を進めたい」と述べ、段階的な普及戦略を示した。
次世代エネルギー技術としての期待
ペロブスカイト太陽電池は、有機無機ハイブリッド材料を用いた新しいタイプの太陽電池で、従来のシリコン系に比べて製造コストが低く、柔軟性に優れる特徴を持つ。国内外で研究開発が進んでおり、建築材料との一体化や可搬型電源など多様な応用が期待されている。
三重県の取り組みは、こうした次世代技術の実用化を地域から推進する試みとして注目される。県内企業の技術力を生かした部材開発や施工技術の確立が進めば、新たな産業創出の可能性も広がる見込みだ。



