国産天然水素の開発調査が始動、2040年商用化へ向け適地選定を進める
国産天然水素の開発調査開始、2040年商用化目指す (04.04.2026)

国産天然水素の開発調査が本格始動、2040年商用化を目指す

地下深部で自然に生成される「天然水素」を、2040年までにエネルギー資源として活用することを目標に、国内での開発適地を選定する調査が今年度から始まる。水素は脱炭素社会の実現に向けた切り札の一つと位置づけられており、政府は経済安全保障の観点から国産天然水素の開発を加速させる方針だ。

NEDOが主導する天然水素開発の手法

天然水素は、地下深部に存在する「かんらん岩」が高温高圧の環境下で地下水と反応することで生成される。国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」は、地下に水を注入してこの反応を促進させる手法で開発を進める計画である。

調査では、研究機関や民間企業と連携し、全国の地質データを詳細に解析。深さ1キロメートル以内にかんらん岩が集中している地域を絞り込む。各地から岩石サンプルを採取し、水との反応実験を行い、水素を効率的に生み出すかんらん石の種類を特定する。さらに、水素の生成にかかる時間も明らかにする予定だ。

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これらのデータを基に、開発に最適な地点を選定。2030年までに試験用の井戸を掘削する候補地を決定し、2040年頃の商用化を目指す。経済産業省は、本年度の予算案にこの調査費用を計上している。

天然水素の優位性と期待される役割

現在、水素は石油精製やアンモニア製造、燃料電池車の燃料などに利用されている。燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しないクリーンエネルギーとして注目される一方で、課題も存在する。太陽光発電などの再生可能エネルギーを用いて水を電気分解して製造する「グリーン水素」はコストが高く、天然ガスなどの化石燃料を使用する「グレー水素」は製造過程でCO2が発生する。

天然水素は、これらの課題を克服する可能性を秘めている。日本は2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」を掲げており、天然水素の開発はその達成に貢献すると期待される。米国の政府機関による試算では、グリーン水素の供給コストが1立方メートルあたり54円から202円かかるのに対し、天然水素は同7円から20円に抑えられるとされている。日本政府は、2050年の水素供給目標として、ガス火力発電のコストを下回る同20円を設定している。

国際的な動向と国内の展望

天然水素の技術開発は、米国やオーストラリア、フランスなどで既に進められている。例えば、米国カンザス州では、地中に貯留された水素の掘削・生産が2027年にも開始される見通しだ。

NEDOの仁木栄プログラムディレクターは、「国産の天然水素を確保することで、石油資源への依存度を低下させることが可能となる。これは、エネルギー安全保障や地球温暖化対策に大きく寄与するだろう」と述べている。

天然水素の基礎知識と埋蔵量

天然水素は、岩石と水の反応などによって地下で自然に生成される水素を指す。アフリカのマリ共和国やオーストラリア、米国など世界各地で発見されており、日本国内でも長野県白馬村の温泉で観測例がある。米国地質調査所の推計によれば、埋蔵量は5兆トンに達する可能性があり、「数百年分の水素需要を満たす」と分析されている。ただし、日本では地震による地盤のひび割れが多く、国内の埋蔵量はまだ不明な点が多い。

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