北海道大学大学院などの研究グループは、北海道内の約1000万年前の地層から発掘された海生哺乳類であるカイギュウ類の食性を特定したとの研究結果を、4月に海外の学術誌で発表した。骨の化石に残る脂質から食性を解明したのは世界で初めてとなる。この手法はより古い時代の化石にも応用できる可能性があり、当時の動物の食性や環境の推定に役立つと期待されている。
研究の対象と手法
分析対象はジュゴンの仲間で、絶滅した3種のカイギュウ類。動物の食性は一般的に歯や顎の形から推定されるが、正確に特定できない場合もある。研究グループは、体内で合成された食べ物由来の成分のうち、比較的残りやすい脂質に着目。化石から脂質を抽出し、詳細に解析した結果、同じカイギュウ類でも主食が異なることが明らかになった。
研究成果の意義
北海道大学院の沢田健教授(地質学)は「何を食べていたかは、その生物の行動を知る上で重要だ」と指摘する。共に研究した北海道の足寄動物化石博物館の新村龍也学芸員(古生物学)は「化石からは動物の生きた環境も見えてくる。さまざまな時代で調べれば面白い発見につながる」と語った。
この研究は、化石に残る脂質という新たな指標を用いることで、従来の形態学的手法では困難だった食性の詳細な解明を可能にした点で画期的である。今後、さらに多くの化石に応用されることで、古代の生態系や環境変動の解明が進むと期待される。



