M-1王者「たくろう」東京進出!大阪で培った実力を新天地で試す
M-1王者「たくろう」東京進出!大阪で培った実力を新天地で試す

2025年の「M-1グランプリ」で頂点に立った漫才コンビ「たくろう」が、2026年4月に東京へ拠点を移した。大阪の「よしもと漫才劇場」を中心に活動してきた2人が、新たな舞台でどのような活躍を見せるのか。コンビ結成の経緯やネタ作りの秘訣、そして東京での抱負について、きむらバンドさん(36)と赤木裕さん(34)に話を聞いた。

リアル「桃太郎電鉄」状態の日々

M-1優勝後、生活は一変した。きむらさんは「家と劇場の往復だったのが、今は新幹線、飛行機、船と、あらゆる交通手段を使っています。まるでリアル『桃太郎電鉄』です」と笑う。赤木さんも「動画配信のサブスクリプションに加入しすぎて、何と契約しているのか分からなくなりました。優勝賞金のかなりの額が消えている可能性があります」と明かす。

コンビ結成のきっかけ

2人は吉本興業のタレント養成所NSCで出会った。1年先輩のきむらさんが、同期の芸人から「面白いやつがいる」と聞き、顔も知らないままファミレスで待ち合わせた。きむらさんは「痩せていて、大きなリュックを背負い、2リットルのペットボトルを持った『やばそうなやつ』が入ってきて、『こいつだ!』と思いました」と振り返る。第一印象について、きむらさんは「見た目が面白い。顔に一目惚れでした」と語り、赤木さんは「一目惚れって言うな。当時、きむらさんはパーマを当てておらず、流行りのM字バングで、イケイケのホストみたいな人がパスタを食べていました」と苦笑い。きむらさんがその場で「コンビ組まへん?」と持ちかけ、すぐに結成が決まった。

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ネタ作りの舞台裏

2人の漫才は、おどおどした赤木さんにきむらさんが優しくツッコミを入れ、時には無茶ぶりをするスタイルが特徴だ。ネタは会社の会議室を借りて作るという。赤木さんは「設定を決めたら、できそうなフリやボケを考えていきます。フリとボケを繰り返して進む『一筆書き』のような漫才です」と説明。M-1で披露した「リングアナ」と「ビバリーヒルズ」のネタでは、理由もなく突然「リングアナの練習をしたい」「ビバリーヒルズに住んでみたい」と言い出す役に徹した。きむらさんは「あのネタでは、ツッコミは没収されました(笑)」と振り返る。

自己紹介のつかみは直前に決める

「メガネのパーマ、きむらバンドと」「○○の赤木です」という自己紹介のつかみも印象的だ。赤木さんは「○○の部分は出番の直前に考えることが多いです。M-1の時に出した『裸眼のばけもの』と『元サイコパス』はお気に入りですが、攻めすぎるとお客さんがポカーンとなることもあります」と話す。きむらさんは「ひどい時は『魔法のじゅうたん』や『タコ』と言っていました」と暴露。赤木さんは「一番スベったのは『ピラニアどんぶり』です。何でもいいと思っていましたが、何でもいいわけじゃなかった。今は自分っぽいイメージのものや意味が分かるものにしています。例えば『モグラの親分』とか」と語る。きむらさんは「それはまだ可能性あるな。衣装の色味とか。『ピラニアどんぶり』と『タコ』はひどかった」と笑う。

挙動不審はアドリブ?演技?

赤木さんの挙動不審な動きについて尋ねると、「企業秘密です」と答える。きむらさんが「テレビで何度も同じネタを披露しているから、バレバレだよ。本当のことを言っても夢は壊れないよ」と突っ込むと、赤木さんは「チャンピオンとして、こんなに挙動不審なわけにはいかない。もう漫才を変えなきゃ」と応じる。きむらさんは「どっしりしてスベって、また元に戻るんじゃないかな」と予想する。

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M-1のネタが生んだ奇跡

M-1で披露したネタは大きな反響を呼んだ。決勝ファーストラウンドの「リングアナ」では、きむらさんが「リングアナの練習がしたい」と言い出し、出場選手を紹介するふりで「IBF、ライトフライ級王者!」と水を向けると、赤木さんが戸惑いつつ「KSD、京都産業大学!」と調子を合わせる。「人呼んで、世界に誇るー」「トヨタ自動車!」と続くツッコミ不在のボケが話題となった。最終決戦の「ビバリーヒルズ」では、きむらさんから「マクドナルドCEOのテッド」「グーグルでAIを開発しているジェームズ」を紹介された赤木さんが「やよい軒でおかわりをしているジョージだ」とぼけたあいさつで笑わせた。すると、ネタに登場した企業が次々に反応。やよい軒とグーグルジャパンの公式X(旧ツイッター)がそれぞれ「M-1優勝してもやよい軒におかわりしに来てくださいね」「Google中のジェームズが喜んでおりました」と投稿。2人はテレビやネットで流れるグーグル、トヨタ自動車の宣伝動画に起用され、話題をさらった。さらに、赤木さんの母校である京都産業大学(京都市北区)は、本来の略称は「KSU」だが、ネタで使われた「KSD」のロゴをプリントした特製パーカを学内で販売。300着限定のパーカは2日で完売した。

10年目の「たくろう」、変わらぬスタイル

今年3月で結成10年を迎えた「たくろう」。きむらさんは「結構、このままです。チャンピオンなのに何の覇気もない。でもそれが良さのような気もします。ただ、衣装とかを変えた方がいいのかな、と最近思い始めました」と語る。赤木さんは「僕の茶色いシャツは、まだコンビの舞台衣装が定まっていなかった頃、塚本駅(大阪市淀川区)近くの商店街で、きむらさんが買ってくれたものをずっと着ています」と明かす。きむらさんは「赤木の誕生日が近かったし、ノリで買いました。『77%オフ』で5000円くらいでした」と説明。赤木さんは「店のおばちゃんが自分で買い付けに行くと言っていて、一点ものらしく、同じ物を探しても見つからないんです」と愛着を見せる。

東京での目標

4月から拠点を東京に移した2人。きむらさんは「小さい頃に見ていたテレビ番組に出たいという憧れもありますが、大阪で培ったものを東京という新しい場所で試してみたい」と意気込む。赤木さんは「M-1よりウケる日を探し求めて頑張ります」と宣言。きむらさんは「ピラニアどんぶりが、こんなこと言ってるんですよ。情熱家でしょ」と笑った。

プロフィル

「たくろう」は2016年3月結成。コンビ名は、きむらさんがファンだという俳優・木村拓哉さんと、赤木さんが好きな元野球選手・イチローさんから取った。きむらバンドさんは1990年1月28日生まれ、愛媛県松山市出身。高校時代はバンドを組んでいた。東京では「『東京フレンドパーク』に出てみたい。木村拓哉さんとしゃべれる日が来るまで頑張ります」と語る。赤木裕さんは1991年10月24日生まれ、滋賀県大津市出身。野球好きで好きなチームは巨人。「イチローさんに会えたら緊張してまともにしゃべれないと思うので、キャッチボールかバッティングピッチャーをしたい」と夢を語る。