指揮者の沼尻竜典が六月、音楽監督を務める神奈川フィルハーモニー管弦楽団を含む三つのオーケストラで、プッチーニ作曲のオペラ「トスカ」を上演する。舞台セットを用いないセミステージ形式を採用し、「作品の舞台であるイタリアの空気や色彩を音で表現するのが使命」と意気込みを語る。
三都市での公演
公演は神奈川フィルによる横浜公演のほか、群馬交響楽団と高崎、名古屋フィルハーモニー交響楽団と名古屋で行われる。オーケストラは通常の舞台下のピットではなく、舞台上で歌手と共に演奏する点が特徴だ。
沼尻は「楽器や演奏する姿がよく見えるし、演出が要点のみのため、脳内で場面を想像する楽しみがある」と説明。以前、ドイツで指揮した際に過激な演出に翻弄された苦い経験を踏まえ、「今回はプッチーニの音楽に忠誠を誓います」と気合を込める。
キャストと見どころ
「歌に生き、恋に生き」などの名アリアが散りばめられた愛と欲望の悲劇。ヒロインのトスカ役はイタリアで研さんを積んだ佐藤康子が務め、冷酷な権力者スカルピア役は「悪役のすごみを出せる」と評される上江隼人が担当。トスカの恋人カバラドッシ役には世界的テノール、シュテファン・ポップが起用され、「彼のおはこで、日本人歌手やオーケストラに刺激を与えてくれるはず」と期待を寄せる。
日常にオペラを
各地の楽団との協力やセミステージ形式は、「日常にオペラを」という思いから沼尻が力を入れる取り組み。これにより楽団は経費やチケット料金を抑えられる利点がある。「オペラを演奏する機会や鑑賞機会を提供したい。歌の世界を充実させることが日本のクラシック界を豊かにする」と未来を見据える。
公演日程
- 六月六日:高崎芸術劇場(群馬交響楽団)
- 十二、十三日:愛知県芸術劇場(名古屋フィルハーモニー交響楽団)
- 二十日:横浜みなとみらい(神奈川フィルハーモニー管弦楽団)



