静岡の「ものづくり」が食品で進化!楽器サブレからプラモデル風おでんまで
楽器や乗り物をかたどったサブレに、プラモデル風のパッケージに入った静岡おでん――。静岡県を代表する工業製品や県独自のホビー文化を巧みに取り入れた食品が次々と市場に登場し、大きな話題を呼んでいます。これらは「ものづくり王国・静岡」の魅力を、特定の愛好家だけでなく、より幅広い一般層にアピールする効果的な手段として期待されています。
春華堂とヤマハが共同開発した「楽器サブレ」と「乗り物サブレ」
「うなぎパイ」で有名な菓子メーカーの春華堂(浜松市)は、楽器大手のヤマハ(同)および二輪車大手のヤマハ発動機(磐田市)とそれぞれ連携し、二種類のサブレを4月1日に発売しました。一つはピアノやバイオリン、スピーカーなどの形を模した「楽器サブレ」、もう一つはバイクやボートをモチーフにした「乗り物サブレ」です。いずれもうなぎパイと同じウナギ粉を使用することで、軽やかで繊細な食感を実現しています。
価格は各税込み1,200円で、当面はヤマハとヤマハ発動機の関連施設での限定販売となりますが、将来的には春華堂の店舗など販路の拡大も検討されています。ヤマハ広報は商品開発の意図について、「音楽や楽器をより身近に感じてもらいたいという願いを込めました」と説明しています。
スズキの社員食堂カレーがレトルト商品に
自動車メーカーのスズキ(浜松市)は、本社の社員食堂で提供されているベジタリアンカレーをレトルト化した「スズキ食堂」(税込み918円)を自社の通販サイトで販売しています。このカレーは、同社の主要市場であるインド出身の社員が慣れ親しんだ味を基にしており、レストラン事業などを手がける鳥善(浜松市)の協力を得て商品化されました。
パッケージデザインは、食べ終わった後も飾って楽しめるよう、「スイフト」や「ジムニー」などの主力車種をあしらっています。価格は一般的なレトルトカレーの2倍以上ですが、昨年6月の発売以来、5種類で累計13万食を売り上げるヒット商品となっています。スズキ広報は「地元企業との連携を通じて浜松の活性化を図り、同時にインドの魅力も発信していきたい」と意気込みを語ります。
プラモデル風パッケージの「煮物合体シズオカオデン」
ロボット型のプラモデルを描いた外箱に、レトルトのおでんと、取扱説明書を模した「お召し上がり方」が収められた「煮物合体シズオカオデン」(税込み1,296円)。この商品を販売しているのは、2019年に創業した企画会社のウージンアーズレコーズ(静岡市)です。
焼津市出身の村田貴紀社長(34歳)が、自身の趣味であるプラモデルに着想を得た土産物を開発しようと、県内の関連企業などの協力を得て、構想から3年後の2024年に商品化を実現しました。同様の商品を「静岡クワザー」(「食わざあ」は県中部の方言で「食べましょう」の意味)と名付けてシリーズ化し、SNSを中心に話題を集めています。
ただし、「静岡に実際に足を運んでほしい」という思いから、販売場所は駅や空港、高速道路のサービスエリアなどの土産物店に限定し、県内のみでの展開としています。村田社長は「静岡が世界に誇るホビー文化をお土産に生かすため、箱を開ける瞬間のワクワク感を商品に込めました」と語っています。
静岡が「ものづくり王国」である背景
総務省と経済産業省が実施している経済構造実態調査によると、2023年の静岡県の工業出荷額(製造品出荷額等)は19兆7,732億円に達し、愛知県に次ぐ全国第2位を誇っています。産業別の内訳では、自動車などを含む「輸送」部門が25.6%で最も多く、次いで「電気」が14.3%、「化学」が13.0%となっています。さらに、2024年の事業所数は全国第5位、従業者数は第3位と、いずれも上位にランクインしています。
静岡でものづくりが特に盛んな理由としては、東京と名古屋を結ぶ重要な物流拠点としての地理的優位性、温暖な気候により水や木材などの資源が豊富に得られる環境が挙げられます。また、歴史的には徳川家康が久能山東照宮などの造営に際して、全国から優れた職人を集めた影響も指摘されており、こうした伝統が現代の産業基盤を支えていると言えるでしょう。



