甲府鳥もつ煮:戦後の食糧難から生まれた甘辛グルメが今も人気
山梨県甲府市には、子どもから大人まで幅広い世代に愛される甘辛い一品がある。それが「甲府鳥もつ煮」だ。鶏のもつ(内臓)を、しょうゆと砂糖をベースにしたタレで味付けしたこの料理は、こってりとした甘辛さが特徴で、2010年にご当地グルメの全国イベントで優勝したことをきっかけに、取り扱う飲食店が増加した。商談や見合いの席で「縁をとりもつ」として喜ばれることも多く、その見た目を裏切らない濃厚な味わいが多くの人を魅了している。
元祖店「奥藤本店」で味わう伝統の味
甲府鳥もつ煮の元祖を味わうために、甲府市にある「奥藤本店」を訪れた。ここでは定食「甲府鳥もつセット」(1550円)が人気で、鳥もつ煮に、そばまたはうどんと半ライス、小鉢、漬けものが付く。レタスの上に輝く4種のもつは、しっとりしたレバー、歯ごたえあるハツ、コリッとした砂肝、濃厚な味わいのキンカン(生まれる前の卵)で、一つずつ口に入れると食感の違いを楽しめる。
4代目店主の塩見大造さん(61)によると、注文の度に新鮮なもつを強火で一気に煮て、まんべんなく照りをつけるという。塩見さんは「コトコト煮や温め直しは、もつが硬くなり味が落ちるので避けています」と語り、伝統の調理法を守り続けている。味は濃厚で、さっぱりとしたそばと合わせると絶妙なバランス。最後に残ったもつを丼にして、タレをご飯に絡めれば、こってりとした味わいも堪能できる。
戦後の食糧難から生まれた温かな心
甲府鳥もつ煮は、戦後の食糧難が続く1950年頃に誕生した。当時、鶏肉の仕入れ先から「捨てられている鶏のもつを料理にできないか」と相談された2代目店主が、「皆のおなかを満たしたい」と応えたことが始まりだ。令和の今でもボリュームたっぷりの定食として提供され、温かな心が受け継がれている。
デザートには富士の名水を使った生フルーツゼリー
甲府鳥もつ煮を堪能した後は、デザートもおすすめだ。城下町を再現した商業施設「小江戸甲府花小路」に入る「果実処 旬甘堂」の看板メニューは「富士の名水 生フルーツゼリー」。山梨県山中湖村の天然水を使ったこのゼリーは砂糖控えめで、果物の甘さや酸味が引き立つ。一番人気のミックス(680円)は宝石箱のようなきらめきで、気分を上げてくれる。頑張った自分へのご褒美にぴったりな一品だ。
店舗情報
- 奥藤本店甲府駅前店:甲府市丸の内1の7の4。営業時間は午前11時~午後2時半(ラストオーダー午後2時15分)、午後5時~7時半(同午後7時15分)。木曜定休(祝日は営業)。
- 果実処 旬甘堂:甲府市丸の内1の10の5。営業時間は午前11時~午後5時半。月曜定休(祝日の場合は翌火曜に振り替え)。
※価格は税込み。記事中の値段などは紙面掲載時のものです。



