神奈川県小田原市の小田原城天守閣で、収蔵優品展「武者の装い」が31日まで開催されている。戦国時代から江戸時代にかけての武具を中心に、後北条氏や小田原藩主大久保氏ゆかりの鎧や兜など約50点が公開されている。
甲冑の歴史的変遷
弥生時代に集団間の争いから生まれた甲冑は、武器や戦闘方法の変化に応じて形態を変えてきた。戦国時代には自己アピールのための個性的な鎧兜が流行したが、馬上での機動性や実用性が重視された。一方、戦乱のない江戸時代に入ると、華麗さやファッション性が高まっていった。
貴重な北条氏規ゆかりの腹巻
滅亡した後北条氏の甲冑は現存数が少なく、特に三崎城主を務めた北条氏規所用と伝わる腹巻は非常に珍しい。豊臣秀吉との小田原合戦では、氏規は韮山城で10倍以上の大軍と3カ月間抗戦。合戦後、兄の氏政を介錯し自害を試みたが、徳川家康の家臣に止められたと軍記物語に記されている。
氏規と家康は幼少期、今川義元の人質として共に過ごし親交を深めた。この腹巻は氏規の子を藩祖とする狭山藩主北条家に伝来し、保存状態が良く、室町から戦国時代の特徴を色濃く残している。江戸中期の華美な甲冑と比較することで、時代の変遷が明確に理解できる。
県内ゆかりの兜や馬具も
展示されている兜は主に県内に関連するもの。相模国に居住した甲冑師の多くは明珍姓だが、珍しい春田姓の銘が入り、トンボをあしらった兜も目を引く。トンボは前にしか進まないことから武士に好まれた。また、江戸時代の小田原藩主大久保氏の紋を彫った馬具や半てんも展示されている。
大貫みあき学芸員は「いつ死ぬか分からない戦場で、甲冑は一世一代の晴れ姿。武将の心意気や美意識を感じてほしい」と語る。入館料は大人千円など。問い合わせは天守閣(電0465(22)3818)へ。



