大田区蒲田で平壌冷麺の本格味 食道園が鉄道史跡巡る街に根付く
蒲田の平壌冷麺専門店 食道園が伝える本場の味

東京都大田区蒲田の一角に、本場平壌の味を守り続ける冷麺専門店がひっそりと佇んでいる。その名は『元祖平壌冷麺 食道園』だ。JR蒲田駅西口から環八を越え、東急池上線の高架沿いに延びるバーボンロードに位置するこの店は、昭和レトロ感漂う飲食街に溶け込んでいる。

鉄道史跡が残る蒲田の街並み

蒲田駅西口広場を起点に、JR線路際の道を南下すると、ユザワヤの密集地帯が広がる。昭和30年に創業した日用雑貨のデパートで、ヒツジの看板が特徴的だ。環八の下をくぐり、富士通ビルの奥にはかつての蒲田操車場跡が。現在は「品川統括センター乗務ユニット」として、京浜東北線の車両が並ぶ。松本清張の『砂の器』で描かれた寂莫とした風景は、今も面影を残している。

バーボンロードへ向かう道中、フェンス越しにミニチュアのような単車が見える。運転士の練習線で、「大田駅」「志茂田駅」といった駅名が付けられたホームが設けられている。志茂田という地名は、近隣の小中学校にも名を残す古い俗称だ。さらに、多摩川方面に延びていた貨物線跡には電車部品を飾った公園があり、鉄道史跡を巡る散策が楽しめる。

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53年間冷麺一筋の店主のこだわり

店内では、店主の上田喜代治さんが温かく迎えてくれる。岩手県一関市生まれの上田さんは、27歳から冷麺一筋で53年のキャリアを持つ。「ワシは青木輝人さんの下で腕を磨き、平壌に近い味を追求してきた」と語る。青木氏は朝鮮半島から引き揚げ後、盛岡で冷麺店「食道園」を興した人物で、盛岡冷麺の発祥として知られる。

上田さんは2009年末に蒲田店を開店。しかし、本拠だった仙台店が2011年の東日本大震災で被災し、塩釜の工場も津波で失うという苦難を経験した。「それからが大変だった……」と振り返るが、その逆境を乗り越え、蒲田で確かな味を提供し続けている。

特製麺とスープ、キムチの三位一体

同店の看板メニュー「平壌冷麺」(1180円)は、注文を受けてから製麺するこだわりを見せる。麺は北海道産ジャガイモを特有の圧縮機で押し出して製造。ツルッとした食感とシコッとしたコシが特徴で、口にした瞬間に「本物」と確信させる味わいだ。

「メンとスープとキムチの三位一体。この3つがすべて良くなくてはダメなんですよ」と上田さんは強調する。スープは深みのある味わいで、キムチとの調和も絶妙。午後5時半頃には、清楚な女子学生が一人で訪れる姿も見られ、地元で根強い人気を誇る。

蒲田の隠れた名店として

『元祖平壌冷麺 食道園』は、鉄道史跡が点在する蒲田の街に溶け込む隠れた名店だ。バーボンロードの小さな飲み屋街に位置し、サンロード蒲田のアーケード街にも近い。営業時間は平日が11:00~15:00、17:00~22:00で、土日は11:00~23:00まで。定休日は火曜日となっている。

蒲田を訪れた際は、昭和の面影を残す街並みを散策し、53年の歴史が詰まった平壌冷麺の一杯を味わってみてはいかがだろうか。本場の味を求めて、多くの食通が足を運ぶ店として、これからも地域に愛され続けるだろう。

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