茨木のり子の魅力を次世代へ 西尾と西東京で活動続く
茨木のり子の魅力を次世代へ 西尾と西東京で活動

詩人・茨木のり子のふるさとである愛知県西尾市と、晩年を過ごした東京都西東京市で、その魅力を次世代に伝える取り組みが活発に行われている。

西尾市の「詩人 茨木のり子の会」

5月17日、西尾市で「詩人 茨木のり子の会」の定例会が開かれた。会員らは、茨木の詩「内部からくさる桃」の一節「内部からいつもくさつてくる桃、平和」について意見を交わした。同会は2013年に設立され、20代から90代までの約120人が所属。隔月で集まり、詩を共に鑑賞している。

西尾市立吉良中学校の国語教諭・山田なつ湖さん(26)は、教員になって初めて茨木と市の関わりを知った。「会では幅広い世代の様々な解釈を聞くのが楽しい。のり子さんの多くの詩に込められている、自分の心を大切にというメッセージを生徒にも感じてもらいたくて、授業でいくつも紹介している」と語る。

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同会は生誕100年を記念し、市内の中学校に詩のパネルを贈る計画を進めている。会員の三浦佳子さん(62)は「市ゆかりの詩人に、生徒たちが関心を持つ入り口になってほしい」と期待を寄せる。6月14日には、市内で記念コンサートも予定されている。

西東京市の「茨木のり子の家を残したい会」

茨木が結婚後の1958年に家を建て、亡くなるまで暮らした西東京市では、地元ゆかりの詩人の足跡として自宅を保存する活動が行われている。親族と連絡を取りながら掃除をしたり、詩の朗読や合唱を楽しんだりしてきた。

同会は生誕100年事業として、小中学生向けの副読本を製作中だ。編集会議を重ね、「わたしが一番きれいだったとき」や「青梅街道」、故郷の愛知から移植した夏みかんの木を題材にした「みかんの木」など16編を選定。詩の舞台の地図も掲載する。

会員の兼坂壮一さん(62)は「茨木さんの詩には弱い立場にいる人など他者に思いを寄せたものも多く、自分もこうありたいと思う」と話す。副読本は9月に市教育委員会を通じ小中学校に配布予定だ。

ゆかりの地を結ぶ交流

茨木は複数の詩で夏みかんを「ネープル」と呼び、故郷の象徴として愛した。「家を残したい会」は昨年、西尾市を訪れ、茨木邸に残る夏みかんの種から育てた苗木十数本を「のり子の会」に贈り、一緒にゆかりの地を歩いた。

「家を残したい会」事務局の柳田由紀子さん(78)は「茨木さんを通じ、西尾の人たちともつながりができてうれしい。みかんも『里帰り』を果たせて良かった」と喜ぶ。苗木は、のり子の会の会員たちの家で大切に育てられている。

両会の活動は、茨木のり子の詩が持つ普遍的な魅力を、地域を超えて次世代に伝える架け橋となっている。

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