旧海軍戦闘機「紫電改」が81年ぶりの再浮上 鹿児島沖で歴史的瞬間
鹿児島県阿久根市沖の海底に長らく沈んでいた旧海軍の戦闘機「紫電改」が、2026年4月8日、ついに81年ぶりにその姿を現しました。太平洋戦争末期の1945年4月に不時着水したこの貴重な機体は、約200メートル沖合の海底から慎重に引き揚げられるという歴史的な作業が行われました。
住民ら100人以上が見守る中での引き揚げ作業
8日早朝から、近くに停泊した作業船からクレーンを使用した準備が進められました。関係者や地元住民など100人以上が固唾を飲んで見守る中、まず外れていたプロペラなどがつり上げられ、その後胴体と両翼が約3時間かけてゆっくりと海上に引き揚げられました。
引き揚げられた機体は、胴体の後部が脱落していたものの、まっすぐに伸びた両翼が印象的で、飛行機としての基本的な形状を驚くほど良好に保っていました。この状態の良さは、今後の修復作業にとって大きな希望となりそうです。
NPO法人が主導した歴史的プロジェクト
この画期的な引き揚げを実現させたのは、出水市に拠点を置くNPO法人「北薩の戦争遺産を後世に遺す会」です。同会の会長であり郷土史家でもある肥本英輔さん(71)が、この紫電改に搭乗していた林喜重大尉の存在を知り、深い関心を抱いたことがプロジェクトの発端となりました。
肥本さんは長年にわたり、地元に眠る戦争遺産の保存と後世への継承に尽力してきました。今回の紫電改引き揚げは、その活動の集大成とも言える重要な成果です。
国内2機目の実機として修復・展示へ
同NPO法人は、引き揚げられた紫電改を国内で保存される2機目の実機として本格的に修復する方針を明らかにしています。修復後は「戦争遺産」として一般公開し、戦争の記憶を未来へと伝える貴重な展示物とする計画です。
紫電改は太平洋戦争後期に開発された局地戦闘機で、その優れた性能から「幻の戦闘機」とも称されました。しかし、終戦間際の生産だったため現存する機体は極めて少なく、今回の引き揚げは航空史研究においても非常に意義深い出来事です。
修復作業には専門的な技術と相当な時間を要すると見込まれていますが、関係者らは「戦争の悲惨さと平和の尊さを伝える生きた教材として、確実に後世に遺したい」と強い意欲を示しています。この歴史的発見が、新たな戦争遺産保存の動きを促す契機となることが期待されます。



