連載「FOOD発見」では、地域の小魚が季節の指標となり、文化庁の「100年フード」に認定される伝統の味を紹介する。2026年5月2日、長沢美津子記者が報じた。
「100年フード」とは
文化庁が推進する「100年フード」は、地域の食文化を次世代に継承するための認定制度である。2021年度に開始され、現在329件が認定されている。応募された地域の料理は、有識者委員会の審査を経て選ばれる。季節を感じさせる魚介を使った料理も多く含まれている。
食文化担当の中島勇人参事官は、「300件を超えたことは、制度の趣旨が理解されている証拠。日常の食の豊かさが日本の食文化の厚みを形成している」と成果を語る。
地域の小魚料理の例
- 秋田の「秋田の佃煮」
- 和歌山の漁師飯「加太の煮あい」(イワシやアジを使用)
- 岡山の「ふなめし」
- 福岡の「えつ料理」
これらの料理は、地域の自然と人々の暮らしを結びつけている。中島氏は「小魚は時期が限られ、鮮度が落ちやすいため広く流通しなかった。だからこそ、地域の人々にとって季節の指標となった」と指摘する。
個人的な記憶と食文化
中島氏の祖父母は兵庫県に住んでおり、春になるとイカナゴが食卓に上った。「炊いたものも、釜揚げに酢じょうゆをかけたものも、とてもおいしかった。子どもの頃の記憶に深く刻まれている」と振り返る。
100年フードのカテゴリーと課題
100年フードは、料理の誕生時期により「伝統」「近代」「未来」の3カテゴリーに分類される。魚料理は「伝統」が中心で、「未来」には少ない。その理由として、家庭で魚を調理する機会の減少や、海や川の魚の減少が考えられる。
「可視化して記録することが重要。まだまだ掘り起こすべき食文化がある」と中島氏は述べている。
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この記事を書いたのは長沢美津子(くらし科学医療部、大阪駐在、食担当)。専門・関心分野は食と社会、料理、生活文化。関連トピック・ジャンルは文化・芸能、ライフスタイル、食・料理。
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