福島県浪江町の大堀相馬焼、伝統技法をデジタル保存し後世へ
福島県浪江町の大堀相馬焼、伝統技法をデジタル保存

福島県浪江町に伝わる伝統工芸品「大堀相馬焼」の製作技法を、デジタル技術を駆使して保存するプロジェクトが本格的に始動した。この取り組みは、後世に確実に技術を継承することを目的としており、地元の陶芸家や研究者らが協力して進めている。

プロジェクトの概要

プロジェクトでは、大堀相馬焼の製作工程を高精細な3Dスキャナーや4Kカメラで詳細に記録する。具体的には、粘土の練り方から成形、絵付け、釉薬がけ、焼成に至るまでの全工程を、熟練の陶芸家の手元を中心に撮影。さらに、窯の温度管理や釉薬の調合比率など、職人の暗黙知とされる部分も数値化し、データベース化する計画だ。

デジタル保存の意義

大堀相馬焼は、江戸時代から続く伝統工芸だが、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の影響で、一時生産が困難になった。その後、復興に向けて動き出したものの、高齢化や後継者不足が課題となっている。デジタル保存により、地理的・時間的制約を超えて誰でも技法を学べる環境を整え、若い世代への普及を図る。

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具体的な取り組み

今回のプロジェクトでは、まず浪江町内の窯元で実際に製作される様子を、複数のアングルから撮影。特に、ろくろを使った成形や、筆を使った繊細な絵付けの工程は、拡大撮影やスローモーション撮影も併用し、細部まで再現可能なデータを収集する。収集したデータは、専用のオンラインアーカイブに保存され、一般公開も検討されている。

関係者の声

プロジェクトに参加する陶芸家の一人は、「この技法を次の世代に残すためには、従来の口伝や実演だけでは限界がある。デジタルデータとして残すことで、遠く離れた場所にいる人でも学べるようになる」と期待を寄せる。また、地元の教育関係者からは、「子どもたちが地元の伝統工芸に触れる良い機会になる」と歓迎の声が上がっている。

今後の展望

プロジェクトは今後、収集したデータを基に、バーチャルリアリティ(VR)技術を活用した体験コンテンツの開発も計画している。ユーザーがあたかも窯元で製作しているかのような感覚を味わえるシステムを構築し、伝統工芸の魅力をより多くの人に伝える狙いだ。また、海外の工芸愛好家向けに、英語や中国語など多言語での情報発信も視野に入れている。

このデジタル保存プロジェクトは、文化庁の補助事業として採択されており、2025年度中にデータの収集を完了し、2026年度以降に一般公開を開始する予定である。大堀相馬焼の伝統が、デジタルの力で新たな形で息づくことが期待されている。

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