博物館のショップで、琥珀を購入した。代金はわずか600円だが、添えられたラベルには驚くべき事実が記されていた。なんと、三千万年前のものだというのだ。この琥珀はバルト海産で、それが生まれた頃、現在のバルト海周辺は巨大な陸地であり、深い森が広がっていたという。一方、現在私が暮らす東京の地は、深い海の底だった。
琥珀の旅路と悠久の時間
かつての森で木から滴り落ちた松脂が、途方もない歳月をかけて琥珀となり、大陸を越え、海を越え、こうして現代の東京へと運ばれてきた。千円にも満たない対価で、これほどの旅をしてきた時間を所有できてしまう。なんというロマンであろうか。
驚くべき輝き
何より驚かされるのは、その輝きだ。三千万年もの時を経たとは到底信じられないほど、琥珀はみずみずしく光り輝いている。窓の外を眺めれば、ビルが林立し、車がせわしなく行き交っている。数年もたてば景色が一変してしまう移ろいやすい東京の街で、この琥珀だけが太古の太陽の光を閉じ込め、一点の曇りもなく透き通っているのだ。
二つの場所と時間の交差
三千万年前の森と、かつては海の底だった東京。二つの場所と時間が、私の小さな掌の上で交差する。日々の煩わしい出来事さえ、この悠久の時間軸と変わらぬ煌めきに照らせば、ほんの一瞬以下のまたたきに過ぎないと思えてくる。
(桜井光・40歳、東京都府中市)



