奈良愛が深まる!あをにまるさんの新著「奈良千夜一夜物語」が刊行、パロディーが深化
奈良愛が深まる!あをにまるさんの新著「奈良千夜一夜物語」刊行

奈良愛が深まる!あをにまるさんの新著「奈良千夜一夜物語」が刊行、パロディーが深化

おなじみの童話や都市伝説の舞台が奈良だったら、どんな展開が待ち受けるのでしょうか。奈良のご当地インフルエンサーとして知られるあをにまるさん(32歳)のコメディー短編集「奈良千夜一夜物語」(KADOKAWA、税込み1760円)が刊行されました。好評を博したデビュー作から3年が経過し、その「ゆがんだ奈良愛」の切れ味はさらに鋭くなっています。大仏でも鹿でもない、ニッチな古都の魅力がにじむ短編4編が収録され、大きな話題を呼んでいます。

現代奈良に蘇る寓話と都市伝説

木こりが鉄の斧を泉に落とし、女神が現れるイソップ寓話の舞台が、現代の奈良市になると、どのように様変わりするのでしょうか。別れ話の口論から、女子大生が小野という名前の彼氏をうっかり猿沢池に突き落とすという設定です。すると、奈良時代に身を投げたと伝わる采女装束の女が現れ、古代の伝説と今時の若者の感性が見事に織り交ぜられます。ユーモラスな奇譚が展開し、読者を魅了します。

持ち主が捨てた人形の「メリーさん」に追われる怪談系都市伝説は、メリーさんを名乗る人物が、電車やバスの乗り継ぎに苦戦しながら山間部の十津川村を目指すドタバタ劇に変貌します。登場人物名の「恩田茉莉」や、架空の映画タイトル「近鉄の刃 鮮魚列車編」といった、クスッと笑える小ネタも満載です。軽快な語り口ながら、読後の余韻を残す作品となっています。

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前作から進化した執筆スタイル

作家デビューとなった前作「今昔奈良物語集」(KADOKAWA)が日本の古典文学のパロディーだったのに対し、今作は海外作品を含めて幅広く着想を得ています。1編の分量も、数千字程度の超短編形式が多かった前作に比べ、今回は各編2万字超と長めに仕上げられました。あをにまるさんは「原作に寄せようという意識ではなく、オリジナルのストーリーと文体で、悩みながらも仕上げられた」と語っています。

文庫化と森見登美彦さんの期待

新著の刊行と同時に、前作が文庫化されました(税込み858円)。文庫版の解説は、同じ奈良出身の人気小説家・森見登美彦さんが手がけています。2年半前に県出身作家らの会合で知り合い、今では2人で出かけることもある仲だといいます。あをにまるさんは「高校時代から作品を愛読していた『推し』。もう、こっち(解説)が本編でいいくらい」と感激を語ります。森見さんも解説で、あをにまるさんを「奈良小説を担う新世代の旗手」と高く評価しています。

奈良愛と今後の活動

「京都が舞台の作品はいっぱいあっても、奈良は意外とない。ブルーオーシャンなんです。奈良、海ないのに」と、あをにまるさんは今後の執筆活動に意欲を見せています。しかし、目指すのは専業作家ではありません。奈良が舞台のインターネットゲーム開発や、バーチャル・ユーチューバーとしての活動にも関心を持っています。

根底には一貫した目標があります。「幅広いコンテンツで奈良をPRしたい。県外に流出しがちな若者が少しでも地元を思い出したり、残りたいと思ったりする一助になれば」と語ります。そして、時に自虐ネタを交えて奈良の話題を盛り上げる自らのスタンスをこう分析します。「好きすぎて女の子に意地悪言う小学生男子、いたじゃないですか。あんな感じかもしれないです」と、少しひねくれながらも奈良を思い続けています。

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あをにまるさんのプロフィール

あをにまるさんは、奈良県大和高田市出身・在住です。友人と2013年から運営するX(旧ツイッター)のアカウント「卑屈な奈良県民bot」のフォロワーは10万人に迫ります。2022年に刊行された初著作のパロディー短編集「今昔奈良物語集」は重版のヒット作となりました。県内の自治体に勤めた後、現在はライターやコミュニティーラジオのパーソナリティーなど多彩に活動しています。