朝井リョウさん、本屋大賞受賞に「寝耳に水」 創作における読者像の変化を語る
2026年4月9日、作家の朝井リョウさんが小説「イン・ザ・メガチャーチ」(日本経済新聞出版)で本屋大賞を受賞しました。受賞発表後、朝井さんは驚きを隠せず、「入院している人に渡せる本が選ばれるのが本屋大賞だと、勝手に定義していた」と語り、受賞が予想外だったことを明かしました。
「読者の存在が頭に浮かばない」と告白する創作の変遷
朝井さんはインタビューで、「最近は、小説を書いている時に読者の存在が頭の中に全然浮かんでいないんです」と率直に語っています。大学在学中に「桐島、部活やめるってよ」を執筆し、エンタメ系の賞でデビューしたことを自覚して以来、自身を大衆小説を書く人間と強く意識してきました。
かつては大衆性を「目に見えるものや、文字にできるもの、気持ちよさ」と捉えていた朝井さんですが、作家生活10周年を迎える中で、その考え方に変化が生じているようです。「私の本は読んでいて気持ちよくなる本ではない」と述べ、自身の作品が必ずしも読者に安らぎを与えるものではないことを認めています。
「イン・ザ・メガチャーチ」の挑戦的なアプローチ
受賞作「イン・ザ・メガチャーチ」は、推し活やファンダム経済といった現代的な言葉で読者を惹きつけながら、「だまし討ち」のように遠くまで誘う作品として注目を集めています。朝井さんはこの作品についても、読者を単純に楽しませるものではなく、むしろ挑戦的な内容であることを強調しました。
本屋大賞は全国の書店員による投票で選ばれる賞であり、朝井さんの作品がこうした評価を得たことは、彼女の創作が新たな段階に入ったことを示唆しています。受賞は、彼女自身にとってさえ「寝耳に水」だったほど、予想外の結果でした。
作家としての自覚と進化
朝井さんは、デビュー以来、大衆小説作家としての自覚を強めてきましたが、最近では読者像を意識せずに創作に没頭する傾向が強まっているようです。この変化は、作家としての成熟や、作品の深みが増していることを反映している可能性があります。
受賞を機に、朝井さんはこれまでの創作観を見つめ直し、新たな方向性を模索している様子が窺えます。読者からの反応や評価が、今後の作品にどのような影響を与えるか、注目が集まっています。



