母の夢が呼び起こす遠い記憶と感謝の思い
ある朝、私はめったに見ない母の夢を見ました。5人の子供を残して43歳で亡くなった母は、私の心の中で静かに微笑んでいたように感じます。母のことを忘れていたわけではないのですが、どうしてこのような夢を見たのか、不思議でなりません。たかが夢とはいえ、めったに見ない夢だけに、思えば思うほど何も手につかない気持ちが続きました。
母の2倍の生命をいただいて
私は今年86歳になり、母の2倍の生命をいただいていることに深く感謝しています。ありがたいことだと、心から思います。母はとてもきれい好きな人で、いつも雑巾がけをしていた姿が鮮明に思い出されます。大きなタライで家族みんなの洗濯をし、洗濯物はなるべく人の目につかないところに干すように言っていた言葉が、今でも耳から離れません。
あの時代は何もない不便な時代でしたが、ゆっくりと時が流れ、近所の子供たちも生き生きとして、それなりに楽しかったように思います。そんな日々が、夢を通じて蘇ってくるのです。
家族の絆と遠い記憶
母の葬儀の日、多くの参列者の中で走り回っていた下の弟も、今では81歳になりました。遠く離れているため、なかなか会うことができず、電話で近況を知るだけです。しかし、この夢を見せてくれたおかげで、遠い昔のことが思い出せて、とてもうれしい気持ちになりました。
大切に育ててくれた父や祖母の顔まで、次々と浮かんできました。夢の中で母に会えたら、あなたの子供たちはみんな幸せに暮らしているよと伝えたいと強く願っています。また夢で会えることを祈りながら、今夜も床につくことにします。
このエッセーは、奈良県橿原市に住む米田房子さん(86)が、母の夢を通じて綴った人生の軌跡と感謝の思いです。遠い記憶が呼び起こされることで、家族の絆や人生のありがたさを再確認する機会となりました。



