弱小空手部で「逃げる作戦」を採用 コーチの奥田修史氏が語る武道教育の真髄
空手部で「逃げる作戦」採用 コーチが語る武道教育

弱小空手部の逆転戦術「最初に点を取り逃げる作戦」の真意

学校法人奥田学園理事長であり、創成館高校校長を務める奥田修史氏は、同校の空手部コーチとして独自の指導法を実践している。その一つが「最初に点を取り逃げる作戦」だ。一見すると武道の精神に反するように思えるこの戦術には、深い教育的配慮が込められている。

母の呼び戻しと帰国への葛藤

奥田氏は幼少期から歯医者、警察官、商社マンなど様々な夢を抱いてきた。しかし、母の順子さん(90)はいつも「素晴らしい夢ね。でも、お父さんの仕事も良い仕事よ」と返していたという。留学先の米国で開放的な文化に触れ、卒業後も帰国する気はなかったが、母から「お父さん、みるみるやせて病気かも」との連絡を受ける。

卒業式前日にハワイを訪ねてきた父の一正さんは、100キロの巨体のままでビール片手に上機嫌だった。「だまされた」と感じた奥田氏は、同時に、うそを言ってまで後継ぎにしようとする母の必死さを痛感した。卒業後もハワイで過ごしていたが、母からの再度の連絡に最終的に折れ、「親孝行してやるか、という中途半端な気持ち」で帰国を決意した。

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問題校での挑戦と空手部コーチとしての役割

1998年、父親が理事長を務める奥田学園へ就職した当時、創成館高校は生徒指導件数が年間300件を超える「問題校」として知られていた。友人に就職を伝えると「ご愁傷さま」と同情されるほどだった。学園では、理事長の秘書と高校の英会話講師、そして空手部のコーチを担当することになった。

弱小空手部のコーチとして、奥田氏は「最初に点を取り逃げる作戦」を導入した。これは武道らしからぬ戦術ではあるが、生徒たちに成功体験を積ませ、自信を持たせることを目的としている。勝利を重ねることで、部活動への意欲を高め、学校生活全体の改善にもつなげようという考えだ。

武道教育の本質と現代的なアプローチ

奥田氏の指導法は、伝統的な武道の価値観を尊重しつつ、現代の教育現場に合わせた柔軟なアプローチを示している。「逃げろ!」という指示は、単に戦術的な意味だけでなく、生徒一人ひとりの成長を促すための手段として位置づけられている。弱小チームであっても、小さな成功を積み重ねることで、自己効力感を育むことが可能だと強調する。

この取り組みは、創成館高校の改革の一環としても機能しており、部活動を通じて生徒の規律や協調性を養うことに貢献している。奥田氏は、教育者としての使命を果たすため、常に新しい方法を模索し続けている。

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