選抜高校野球で甲子園初の指名打者制導入、大谷ルールも採用
第98回選抜高校野球大会(19日開幕、甲子園球場)において、甲子園大会では初めてとなる指名打者(DH)制が導入されることが決定した。この制度は守備につかない選手が投手の代わりに打席に立つもので、投手の負担軽減や控え選手の出場機会増加が期待されている。しかし、「エースで4番」というスタイルが珍しくない高校野球の世界では、この新制度を「使わない」と表明する学校も存在し、各校の対応に大きな注目が集まっている。
大谷ルールの採用と各校の対応調査
DH制は国内ではプロ野球や社会人、大学などで既に採用されている制度だ。日本高校野球連盟は暑さ対策の一環としてDH制の導入を検討し、昨年8月に正式決定。今春から全ての公式戦で選択可能となった。さらに、米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手の活躍をきっかけに設けられた「大谷ルール」も採用される。このルールにより、DHを兼ねて先発した投手は、降板後も打席に立ち続けることが可能となる。
読売新聞が出場全32校に対して行った聞き取り調査によると、「使う」または「状況に応じて使う」と回答したのは25校に上った。一方で、「使わない」方針やその可能性を示したのは3校、現在検討中と答えたのは4校だった。
DH制を活用する学校の戦略と理由
DH制を採用する理由としては、「投手が打撃や走塁で負傷するリスクを防げる」や「守備が苦手でも打撃が得意な選手が活躍できる機会が増える」といった意見が目立っている。しかし、その起用法はパワーを重視するプロ野球とは異なるケースも見られる。
例えば、東北高校(宮城)の我妻敏監督は「器用に走者を進められる『つなぎ役』のDHを6番に据える」という方針を明らかにしている。また、花咲徳栄高校(埼玉)の岩井隆監督は、昨年秋から打力や走力に優れた6選手に準備をさせてきたと語り、状況に応じて代走や代打などで「目まぐるしいほど選手を代えていく」独自の戦術を温めている。
DH制を使わない選択をする学校の事情
一方で、DH制を採用しない学校も存在する。大谷ルールではマウンドを降りると再登板ができないため、大会屈指の剛腕かつ強打を誇る山梨学院高校(山梨)の菰田陽生選手(3年)の起用法が特に注目されている。また、ベンチ入りが定員の20人に満たない18人で臨む高知農業高校(高知)は、エースの山下蒼生選手(3年)が打線の要でもあることから、再登板も見越して「DHを使わない」と回答した。
今大会の出場校では少数派だが、部員数が少ないチームは「10人」でのプレーを選択しない傾向が出てくる可能性も指摘されている。
複雑なルールと審判側の対応
さらに、DH制には解除となる条件が複数存在し、試合途中で復活させることはできない。日本高校野球連盟は選手交代の混乱も予想されるとして、今月7日に選抜大会の審判を対象とした研修会を開催し、ルールの再確認を行った。各都道府県連盟も春季大会を前に注意点の周知を進めている。
日本高野連の尾崎泰輔審判規則委員長は「伝令の選手が監督の意図を理解できていない場合もあるかもしれない。今まで以上に丁寧に聞き取りたい」と述べ、審判側の慎重な対応を示している。
この新制度の導入により、高校野球の戦略や選手起用がどのように変化するのか、その行方に熱い視線が注がれている。



