元大関琴風、演歌と土俵の68年「わが人生に悔いなし」を語る
元大関琴風、演歌と土俵の68年「人生に悔いなし」 (23.03.2026)

元大関琴風、演歌と土俵を彩る68年の軌跡

元大関琴風の中山浩一さん(68)は、俳優の石原裕次郎さんが亡くなる3か月前に歌った「わが人生に悔いなし」の顛末を聞いて、言葉を失ったという。死期を悟った裕次郎さんが作詞家のなかにし礼さんに託したこの曲は、まさに「人生の思い出に残る歌」という魂のリクエストだった。

石原裕次郎の最後の願いと歌の誕生

石原裕次郎さんの「わが人生に悔いなし」は、1987年4月21日に発売され、その3か月後の7月17日、裕次郎さんは肝細胞がんのため52歳で他界した。琴風は現役を引退し、尾車親方となっていた頃、裕次郎さんの死後、なかにしさんから作詞を依頼された経緯を聞いた。それは、地方講演からの帰り道、新幹線の中でのことだった。

なかにしさんは、「余命幾ばくもないと分かった裕次郎さんの関係者から、『最後に人生の思い出に残るような歌を書いてくれないか』と頼まれた」と語った。後に、この「関係者」が裕次郎さん本人であり、がんで死期が迫っていると悟っていたことも明らかになった。作曲を依頼された加藤登紀子さんも、詞を読んで驚き、死を予感する内容を生かすため、シンプルで歌いやすい旋律をつけたと回想している。

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なかにし礼との出会いと「まわり道」のヒット

琴風は大関時代に「まわり道」で歌手デビューを果たし、なかにしさん作詞のこの曲は50万枚を売る大ヒットとなった。歌詞は、男と女が巡り合い、遠回りしながらも遅れてやって来た春を祝う恋の物語だ。なかにしさんは、「あなたがけがを克服し、大関まで上るさまを作品に投影した」と説明し、琴風は深く感銘を受けた。

なかにしさんとの交友はさらに深まり、「本音で話してくれた。人生の財産になるような人との出会いだった」と振り返る。なかにしさんは、終戦後に満州からの引き揚げを体験し、約4000曲を世に送り出した作詞家で、琴風の「まわり道」もその代表作の一つとして、2015年に発売された記念アルバムに収録された。

有線放送で広がる人気と相撲人生の回想

「まわり道」が発売された当初、琴風は売れるとは思っていなかったが、北海道の旭川や福岡の博多など地方都市で有線放送のリクエストがランキング1位を刻み、世間の話題となった。大関琴風のレコードは火がつくように売り上げを伸ばし、演歌歌手としての地位を確立した。

琴風は、「なかにし先生は人生を詞で語る。『語る歌』というのだろうか。人の人生を見通し、それが聴く人にも通じる。すごいとしか言いようがない」と賛辞を送る。また、相撲部屋の師匠としての40年は「人づくり」を心がけ、頸髄損傷からの再起を支えてくれた弟子や家族に感謝の念を抱いている。

妻との二人三脚で歩むこれからの人生

中山さんは、「わが人生に悔いなし」を歌うと、懐かしい光景が脳裏に浮かぶという。昭和50年代後半、大関として覇を競い合った朝潮、北天佑、若嶋津の面々を思い出し、彼らがすでに逝ってしまったことを感慨深く語る。

これからの人生は、妻の史枝さんとの二人三脚で歩んでいくと決意を新たにしている。石原裕次郎さんの歌を地で行くような人生を、感謝とともに歩み続ける覚悟だ。

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