渡部暁斗、思い出の地でラストレースへ「奇跡を起こすことだけが残されている」
渡部暁斗、思い出の地でラストレースへ「奇跡起こすだけ」

渡部暁斗、思い出の地でラストレースへ「奇跡を起こすことだけが残されている」

ノルディックスキー複合の渡部暁斗選手(37)が、ミラノ・コルティナオリンピックでの引退を表明している中、最後のレースとなる団体戦が19日に行われる。今大会は、2006年に初出場したトリノ五輪と同じイタリア開催であり、さらにワールドカップ(W杯)で初優勝を果たしたバルディフィエメが会場だ。この思い出深い地で、渡部選手はラストレースに挑む。

オリンピックの舞台で学んだ人生の教訓

渡部選手はオリンピックについて、「自分にとって道しるべ。スポーツとは、アスリートとは、人生とは。様々なことを考えさせてくれる舞台だった」と振り返る。初出場のトリノ五輪では観光感覚で臨み、後に反省した。メダル獲得を目指した2010年バンクーバー五輪では、意気込みと実力の隔たりに苦しんだ。3回目の出場で銀メダルを獲得し、14年ソチ五輪ではしびれる勝負を楽しんだ。

世界ランク1位で臨んだ18年平昌五輪では、金メダルにあと一歩及ばず涙をのんだ。前回の北京五輪ではメダルへのこだわりを捨て、楽しむことを優先した結果、個人ラージヒルと団体で二つの銅メダルを獲得。「奇跡が起こりうるのがオリンピックの舞台」と実感したという。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

栄養管理と探究心で挑む最後の五輪

北京五輪後、渡部選手は常に引退を意識し、競技と家庭の両立、悔いのない選手人生を考えてきた。味の素のシニアマネジャー・上野祐輝さん(40)は昨春、「最後だからこそ、自分の体にとことん向き合おう」と提案し、「とことん合宿」を実施。渡部選手と弟の善斗選手(34)と共に、長野県内で2泊3日の合宿を行った。

食事や運動後の体重測定、栄養素の数値化を通じて、試合中のアミノ酸や炭水化物の適正量を把握。昨年9月のサマーグランプリから実践を始めた。上野さんは、「『維持は衰退』という考えを持ち、現状に満足しない。探究心が強さの秘訣だ」と渡部選手の姿勢を称える。

家族との両立と私生活の変化

私生活では大きな変化があった。2020年11月に長男が生まれ、22年5月に次男、25年12月には三男が誕生。北京五輪で「自分のために100%時間を使う五輪は最後」と宣言した通り、子育てにも奮闘する。

トレーニングの合間に子供と遊び、保育園に迎えに行くなど、家族との時間を大切にしている。妻の由梨恵さん(37)が体調を崩した時には海外遠征を早めに切り上げ、三男誕生時にはW杯を欠場して立ち会った。由梨恵さんは「少しでも長く家族と過ごそうとしてくれる」と感謝する。

苦戦続きも奇跡を信じて戦う決意

今シーズンのW杯は開幕戦の13位が最高と苦戦が続き、日本代表の未来を考えて葛藤もした。しかし、「自分が選ばれたことにも意味がある」と信じている。

11日の個人ノーマルヒルは11位、17日の個人ラージヒルは19位と、メダル争いに絡めていないが、諦めるつもりはない。渡部選手は「僕に残されているのは、奇跡を起こすことだけ。若い選手や子供たちに夢を与えるためにも、心の底から真剣に戦っている姿を見せたい」と語り、最後の五輪に全力で臨む。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ