ラグビーリーグワンが障害者ファンに向けた取り組みを拡大 社会課題解決へ「リーグ発足の意味」
ラグビーの国内最高峰リーグであるリーグワンにおいて、障害のあるファンに向けた取り組みが徐々に広がりを見せている。実業団リーグから運営のプロ化を掲げる新リーグへと移行して5シーズン目を迎え、これまでアクセスが難しかったファン層を取り込む動きが本格化している。
秩父宮ラグビー場で「ユニバーサルデー」を開催
先日、東京・秩父宮ラグビー場では、リコーブラックラムズ東京(BR東京)の試合が行われた。この会場では、車いすで来場する観客の姿が目立った。医療的ケアが必要な子どもや聴覚障害者など、約250人が招待され、メンバー外の選手たちが客席で一緒に観戦し、好プレーに拍手を送る光景が見られた。
千葉市から参加した家族は、7歳の子どもが「18トリソミー」という難病で歩けず、車いすを使用している。母親(42)は「同世代の子どもたちがするような体験を子どもにもさせたかった。ピッチが近くて迫力がある」と語り、楽しんでいた様子だった。
この取り組みは、誰でもスタジアムでの観戦を楽しめる環境を作ろうと、BR東京が企画した「ユニバーサルデー」の一環である。昨年に続き2回目の開催で、障害者の招待に加え、車いすラグビーの体験クリニックも実施された。
リーグ発足で地域貢献に力点
リーグワンが発足したことで、各クラブは地域貢献に力を入れるようになった。BR東京の場合、障害者施設との連携に積極的な海外サッカーチームの取り組みを参考に、ユニバーサルデーを始めることになったという。
一方で、限界も指摘されている。駐車場の広さやエレベーターの台数など、ハード面の課題は多く、改善には時間がかかる。担当者は「会場全体で障害のあるファンを助け合う空気を作るためにも、年に1回以上はこうした取り組みを続けたい」と話す。
クラウドファンディングで環境整備を推進
埼玉パナソニックワイルドナイツは今月24日から、障害者がスポーツを楽しむ環境づくりにつなげるためのクラウドファンディングを始める。集めた資金は、スタジアムに仮設スロープを設置したり、障害がある人が使いやすい専用室を拡充したりするなど、ラグビーやスポーツを観戦しやすくするために活用される。
さらに、段差などがあることを地図上に示した会場周辺のバリアフリーマップの作成や、聴覚障害者がプレーする「デフラグビー」の支援にも投じられる予定だ。
担当する埼玉の杉田秀之さんは「スタジアムを誰でも、いつでも来られる場所にしていきたい。地域に根付くホストチームとして、社会課題に取り組んでいくことが、リーグワンが発足した意味だと思う」と語った。
今後の展望と課題
ラグビーリーグワンでは、障害者ファンへの取り組みが着実に広がっているが、車いす席の基準を満たす競技場は全体の2割弱にとどまっており、スポーツ観戦のバリアフリー化は依然として重要な課題である。各クラブが連携し、ハード面の整備とソフト面の支援を両輪で進めることが求められている。
この動きは、単なる観戦機会の提供にとどまらず、社会全体のインクルージョン推進にも寄与する可能性を秘めている。ラグビーを通じた社会課題解決への取り組みが、今後さらに深化することが期待される。



