世界選手権2連覇中の佐々木音憧、Xゲームズで「とりあえず表彰台」狙うラフな逸材
世界選手権2連覇の佐々木音憧、Xゲームズで表彰台狙う

世界最高峰のアクションスポーツ賞金大会「Xゲームズ」千葉大会が、7月4日と5日に千葉・幕張メッセで開催される。ストリート男子など2種目に出場するのは、世界選手権2連覇中の佐々木音憧(とあ、19歳)。世界の頂点をかけた戦いを前にしても、日本スケートボード界の逸材は、あまりに自由奔放だ。

Xゲームズの新たな挑戦と佐々木の参加

「Xゲームズ」は1995年に始まった世界最高峰の大会で、多くのアスリートにとって憧れの夢舞台である。今夏からは、従来の個人戦に加えて、チーム戦「Xゲームズリーグ」が新設された。4チームが発足し、各チームの所属選手が大会ごとの結果に基づいて獲得したポイントで、年間優勝を競う。

そんな歴史的転換点にあって、佐々木は4チームのうち「XC Tokyo」にドラフトされた。しかし、本人は「ドラフトのことも知らなくて、インスタのストーリーでメンションされて知った」と語る。ドラフト選出には事前エントリーが必要だが、「だいぶ前にXゲームズから連絡が来て、よく分からないけど『Xゲームズだから一応やっといた方がいいな』と思って。エントリーしたような記憶はあります」とのこと。ドラフトの感想を聞くと、「全然、うれしかったっすね」と、どこか飄々としている。

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「非」アスリートの逸材

佐々木は勝ち負けに対して気の抜けた発言が多い。例えば、「(白井空良に勝ちたいかと問われ)けっこう、無理っすね」や、「優勝はきついんじゃないですか?」といった具合だ。しかし、彼は紛れもない逸材である。2023年に若手スケーターの登竜門「タンパ・アマ」で2位に入ると、2024年にはスケートボード・ストリート世界選手権で男子史上最年少の17歳で優勝。2026年3月に行われた同大会でも優勝し、連覇を達成した。世界ランキングは2位(5月28日現在)につけている。

高速でコースを滑り、高難度の技をスムーズに決めるランが最大の強み。オーバーサイズのパンツをはきこなし、コースで暴れ回る姿が、なんとも「ストリート感」にあふれる。「オリンピックは出たいっす」と言うが、練習時間は「短時間で集中してやる感じ。時間は特に決めていなくて、自分が納得するまで」といい、「アスリートっぽく練習できるなら、そっちの方がいいんだろうけど、絶対続かない気がする」とラフなスタイルを貫く。

高難度技への本気

そんな彼にも変化の兆しがある。昨年11月のワールドツアー・ストリート直前から、「本気で取り組みだした」技があるという。それは「キャバレリアル・バックサイド・ノーズブラントスライド・ビッグスピンアウト」という超高難度の技。普段乗るスケボーとは逆の向きで進み、背中側に1回転しながらセクションに乗り、ボードの先端とタイヤの金属部分をセクションに当てて滑り、さらに270度回転して降りるというもの。実は「2~3年前からやっていた」が、なぜ今なのか。「大会でのポイントや周りの選手がレベルアップしているのを見てきた。もう来年とかになっちゃったら、通用しなくなるだろうと思って。もう1個上に行かないと、と思いました」。それ以来、「練習するときはこの技だけ、2~3時間かけることもある」。完成時期を聞くと、「来年までには……。早ければ早いほうがいいですけど」といつもの調子だ。

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「とりあえず表彰台」の真意

オリンピックに「出たいっす」という気持ちも、Xゲームズリーグにドラフトされて「全然うれしかった」という気持ちも、たぶん、全て本心だ。そうでなければ、危機感を持って新しい技に取り組んだり、成長したいという気持ちを強く持ったりもしない。本人も「やらかしがち」と自覚するように、佐々木のXゲームズでの戦績は2025年大阪大会の6位が最高。そんな佐々木は今大会に向けて「とりあえず、表彰台は乗っとかないとな」と意気込んでいる。新しい時代は、いつだって若い世代が作り上げてきた。ラフに見えるけど、その気持ちはガチだ。