四日市市の地下駐車場水没から半年、複雑な所有構造で復旧のめど立たず
三重県四日市市の地下駐車場「くすの木パーキング」が大雨による水没被害を受けてから、半年が経過した。しかし、地下駐車場は現在も使用不能の状態が続いており、復旧の見通しは全く立っていない。この問題の背景には、市の第三セクター「ディア四日市」と国土交通省の2者が所有する複雑な構造があり、市中心部の駐車場不足は長期化の様相を呈している。地元からは早期の対応を求める切実な声が日増しに高まっている。
国と市第三セクターの足並みそろわず、復旧作業停滞
「復旧スケジュールを答えられる状態ではない」。所有者の一方である国土交通省三重河川国道事務所の伊藤秀則副所長は今月上旬、復旧の進展がないことを明らかにした。国は昨年12月に成立した補正予算で設計費など8億円余りを計上したが、進んだのは地下にたまった泥の清掃程度で、具体的な設計はまだできていない。伊藤副所長は「市道側と一体の施設なので、国道側だけの勝手はできない」と述べ、双方の協調が不可欠であることを強調した。
地下駐車場は国道1号の地下部分を国が、市道「中央通り」の地下部分を市の第三セクター「ディア四日市」がそれぞれ所有し、運営を同社が担っていた。復旧を進めるには、双方が足並みをそろえる必要があるが、財力のある国に対し、唯一の資金源である駐車場収入が絶たれた同社は自力復旧が困難として市に援助を要請。その後、同社は破産に至っている。
市中心部の駐車場不足長期化、商業活動に深刻な影響
市は、中心市街地の街づくりのために地下駐車場が不可欠であると認識している。森智広市長は「国と歩調を合わせた形での復旧になる。後れを取るわけにはいかない」と発言し、早期復旧に意欲を示す。しかし、肝心の同社からの施設買い取りは価格面で折り合わず、具体的な進展は見られない。
地下駐車場の閉鎖により、市中心部の駐車場不足は深刻化している。500台を収容する同市安島の立体駐車場「JAパーキング」によると、大雨以降に月決め契約の問い合わせが急増。現在は20台以上の空き待ちが発生しており、担当者は「半年以上は待ってもらっている」と話す。
四日市一番街商店街振興組合によると、周辺の時間貸し駐車場も週末を中心に軒並み満車になっている。最近は車で一帯を訪れる人の数そのものが減少しており、飲食店を中心に集客に大きな影響が出ているという。長谷川進理事長(71)は、「くすの木パーキング」は商店街が強く働きかけて建設された経緯があると説明した上で、「閉鎖の影響は極めて大きい。一刻も早く復旧してほしい」と切実に訴えている。
2025年9月の大雨被害と国の対応
2025年9月12日夜、四日市市で1時間当たり観測史上最大の123.5ミリを観測する大雨が降った。市内では推計3300棟が浸水被害を受けた。地下駐車場「くすの木パーキング」は車や歩行者の出入り口と、工事中の車両出口スロープ計15カ所から雨水が流入。乗用車など274台が被害を受けた。国が所有する車両出入り口2カ所の電動式止水板が故障していたことから、国は被害者に被害額の3分の1を支払う方針を示し、先月から個別交渉を開始した。



