能登の子どもたちが映画制作で心の傷と向き合う 短編映画を通じた心のケアプログラム
能登の子が映画で心の傷と向き合う ケアプログラム進行中

能登の子どもたちが映画制作で心の傷と向き合う 短編映画を通じた心のケアプログラム

大きな災害に遭遇したとき、心は深く傷ついていても、その痛みは外からは見えにくく、自分自身でも気づきにくいものです。そんな中、能登半島地震の被災地では、子どもたちが短編映画の制作を通じて、自身の心の傷と向き合うプログラムが着実に進められています。この取り組みは、心のケアの重要性を再認識させるとともに、被災地の復興に向けた新たな一歩として注目を集めています。

心の傷を放っておかないことの大切さ

石川県七尾市では、2026年2月中旬、精神科医の桑山紀彦さん(63歳)が市立和倉小学校の子どもたち7人に語りかけました。桑山さんは、東日本大震災の被災地やパレスチナの紛争地帯で長年にわたり心のケアに携わってきた豊富な経験を基に、やわらかい言葉で説明を続けます。

「心の傷は見えないからって、放っておかない方がいい」と桑山さんは強調します。心の傷を放置すると、地震に関連する場所や話題を避けるようになり、人生の選択肢が狭まってしまう可能性があると指摘します。また、心に強い衝撃を受けると、記憶が抜け落ちたり入れ替わったりして、記憶と感情の結びつきが失われ、バラバラになってしまうことも説明しました。

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映画制作で記憶と感情を結びつける

このプログラムでは、子どもたちが自分らしく物語を演じ、悲しみや喜びを込めて短編映画を作り上げる過程を通じて、記憶と感情を再び結びつけ、言葉で表現できるようになることを目指しています。桑山さんは、「心の傷に振り回されずにまっすぐ進むことができ、震災のつらかった経験が自分をもっと強くしていく」と語り、映画制作が心の回復に役立つことを期待しています。

プログラムは認定NPO法人などが主導し、被災地の子どもたちに継続的な支援を提供しています。参加した子どもたちは、自身の体験を織り交ぜた台本を制作し、2026年を目処に映画を完成させる予定です。この取り組みは、被災地の心の復興に新たな光を当てるものとして、地域社会からも高い評価を受けています。

専門家からの視点と期待

関西学院大学総合政策学部の特別客員教授、小西美穂さんは、「心の傷は見えないからって、放っておかない方がいい」という桑山さんの言葉に、震災取材の現場を思い出したと述べています。被災地では、疲れ切った親を気遣い、自分の不安やつらさを飲み込んでしまう子どもたちが少なくないと指摘し、このプログラムがそうした子どもたちの心のケアに役立つことを期待しています。

また、脚本家の梶原阿貴さんは、2023年12月に七尾市で開催された「第16回アジアテレビドラマカンファレンス」に参加した際、和倉温泉の皆様にお世話になった経験を振り返り、地震の発生に衝撃を受けたと語ります。被災地の復興に向けたこのような取り組みが、地域の絆を深める一助となることを願っています。

能登半島地震から時間が経過する中、子どもたちが映画制作を通じて心の傷と向き合うこのプログラムは、被災地の未来を築く上で重要な役割を果たしています。記憶と感情を結びつけるプロセスは、単なる心のケアにとどまらず、子どもたちの成長と強さを育む機会として、今後も注目されていくでしょう。

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