福島帰還困難区域の森林整備ガイドライン初策定、安全基準と管理手法を明示
福島帰還困難区域の森林整備ガイドライン初策定

福島帰還困難区域の森林整備で初のガイドライン策定、安全基準を明確化

林野庁は、東京電力福島第1原発事故により帰還困難区域に指定された地域の森林を対象に、自治体や林業事業者が苗木植栽や治山工事などを行う際のガイドラインを新たに策定しました。帰還困難区域を対象とした手引が示されるのは初めてのことであり、新年度以降、着実な森林整備を通じて被災地の地域再生を推進することが重要視されています。

事故から15年近く経過も整備が進まなかった背景

福島県における原発事故後の森林整備については、2013年度から間伐などの作業と放射性物質を含む土壌流出防止柵の設置を組み合わせた「ふくしま森林再生事業」が実施されてきました。しかし、帰還困難区域の森林では原則として立ち入りが制限されており、事故発生から約15年が経過した現在でも整備がほとんど進んでいない状況が続いていました。

人の手が入っていない森林では、土砂流出や崩落を防ぐといった公益的機能が低下する懸念が指摘されています。このため、森林に囲まれた山間部の帰還困難区域にある宅地などを「特定帰還居住区域」に設定し、将来の避難指示解除を目指す自治体からは、安全面を考慮した整備対策の必要性が強く求められていました。

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ガイドラインの主な内容と放射線管理基準

新たな手引では、放射線管理の基準に基づき、平均空間線量率が毎時2.5マイクロシーベルト以下で、土壌の放射性セシウム濃度が1キログラム当たり1万ベクレル以下であれば、被ばく線量管理を実施せずに森林整備が可能であることが明記されました。県や市町村には、この手引を活用して森林の間伐などを進め、帰還を希望する住民の安心感醸成に努めることが期待されています。

帰還困難区域での森林整備は当面、公的機関が発注する事業に限定されるため、県や市町村には空間放射線量や土壌の放射性物質濃度を測定し、整備可能な場所かどうかを判断する責任が生じます。国に対しては、正確な測定方法の周知などを通じて、市町村の業務を支援することが求められています。

高線量区域での対応と事業者への管理強化

空間線量率が毎時2.5マイクロシーベルト以上、または土壌が1万ベクレルを超える現場についても、作業の種類や実施時間を工夫することで森林整備が可能であることがガイドラインに明記されました。この場合、作業を受注する事業者には、作業員の被ばく管理や定期的な健康診断の実施が義務付けられます。

これらの場所での作業は、森林組合や林業関連の民間企業が想定されていますが、除染事業者などと比較して放射線管理の専門知識が不足しているケースも考えられます。国と県は、事業者に対して対策を指導するとともに、適切な管理が行われているかをチェックする体制の整備が望まれています。

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