熊本地震から10年、復興住宅の被災者に残る心の傷
観測史上初めて震度7を2度記録した熊本地震は、2026年4月に「前震」から10年、「本震」から10年という節目を迎えます。この地震では、熊本県内で約19万8000棟の家屋が被害を受け、最大で約18万4000人が避難所に身を寄せました。読売新聞が実施したアンケート調査によると、災害公営住宅(復興住宅)で暮らす被災者125人のうち、約9割が家屋に被害を受けた経験を持ち、7割弱が車中泊や避難所生活を経験しています。
4割強の被災者が不安やストレスを感じている実態
アンケートでは、被災体験を思い出し不安やストレスを感じることがあるかとの質問に対し、54人(約43%)が「ある」と回答しました。理由としては、「軽微な地震等でも体験がよみがえる」が35人で最多となり、「新たな災害への不安が尽きない」が17人、「緊急地震速報などに恐怖を感じる」が16人と続いています。宇城市の88歳の女性は「熊本地震を思い出すと寝られなくなる」と吐露し、記憶がよみがえり精神的に不安定になることを明かしました。
復興住宅は生活再建の出発点
専門家は、復興住宅を恒久的な住まいと受け止める被災者が多い一方で、「復興住宅は到達点ではなく、長期的な生活再建支援の出発点」と指摘します。被災者が現在までに苦労したこととしては、「長期の避難生活」が30人、「地震の恐怖・トラウマ」が29人、「健康の維持・管理」が29人と報告されています。現在抱える不安は、「新たな災害」が43人、「健康の問題」が38人、「これからの生活資金」が25人の順に多くなっています。
目に見える復興と残る課題
被災地では、震度7に2度襲われ約9割の家屋が損壊した益城町を中心に、復興が進んでいます。町中心部の区画整理が進み、2026年3月には県道の4車線化工事が完了しました。また、半導体の受託製造世界最大手である台湾積体電路製造(TSMC)の進出も、地域経済の復興を後押ししています。しかし、被災者からは「道路はできたが生活はまだまだ」との声も上がっており、物理的な復興と精神的・社会的な支援のバランスが課題となっています。
集会所では、被災した住民たちが集まり体操で体をほぐす様子も見られ、コミュニティの形成が進んでいます。それでも、多くの被災者が過去の体験に悩まされ続けており、長期的なメンタルヘルス支援や生活再建プログラムの必要性が浮き彫りになりました。熊本地震から10年を経て、被災者の心のケアと持続可能な生活環境の整備が、今後さらに重要となるでしょう。



