能美市職員の4人に1人がハラスメント被害 自殺問題で実態調査実施
石川県能美市は2026年3月31日、上司からのパワーハラスメントを受けた職員が自殺した問題を受け実施した全職員アンケートの結果を公表した。調査によると、回答者の25%が「現在も職場でのハラスメントに悩んでいる」と回答し、深刻な実態が浮き彫りとなった。
自殺問題の経緯と第三者委員会の認定
問題の発端は、市総務部の課長級職員による一連の言動にある。同職員は昨年4月から9月にかけて、課の職員に対し時間外勤務の上限を月30時間に設定することを伝える一方、職員3人を「残業三兄弟」と呼び、業務指示の際に「どうせすぐ忘れると思うけど」などの発言を繰り返していた。
このうち職員の1人が昨年10月に自殺。市が設置した第三者委員会は課長級職員の言動をパワーハラスメントと認定し、市は2026年2月に当該職員を停職6カ月の懲戒処分とした。
アンケート調査の詳細と結果
能美市は日本ハラスメント協会(大阪市)に委託し、3月3日から11日にかけて約1270人の全職員を対象にアンケートを実施。1096人が無記名で回答し、回答率は約86%に達した。回答者の内訳は女性が62%を占めている。
調査結果では、職場でのハラスメントに「現在悩んでいる」と回答した職員が全体の25%に上った。ハラスメントの行為者については以下の特徴が明らかになった。
- 70%が「管理職」からの被害
- 48%が「同僚(年上)」からの被害
この結果から、年長者や上位職からのハラスメント被害が特に深刻である実態がうかがえる。
市の対応と今後の対策
井出敏朗市長は31日午後の記者会見で、「今回の調査結果を重く受け止め、職場環境の改善に全力で取り組む」と表明した。市は以下の再発防止策を進める方針を示している。
- 相談体制の充実と専門窓口の設置
- 管理職向けハラスメント防止研修の強化
- 匿名報告制度の見直しと周知徹底
市関係者は「単なるアンケート実施で終わらせず、具体的な改善策を実行に移していく」と強調している。
類似事例と社会的背景
能美市の事例は、地方自治体における職場環境の問題を象徴するケースとなった。近年、福井県など他自治体でもハラスメント問題が相次いで発覚しており、公務員の労働環境改善が全国的な課題として浮上している。
専門家は「組織の風土改革とともに、被害者が声を上げやすい環境整備が急務」と指摘。ハラスメント防止に向けた法制度の強化と実効性ある対策の両輪が必要だと訴えている。



