新年度スタート、全国で入社式が開催
2026年4月1日、新年度が始まったこの日、全国の企業や官公庁で入社式や入庁式が行われた。不安定な国際情勢や地域の課題に直面する中、新たな一歩を踏み出す若者たちがそれぞれの決意を語った。不祥事に揺れた自治体では、トップが信頼回復に向けた協力を呼びかけ、歴史的なサービス終了の瞬間も訪れた。
中東情勢に揺れる伊藤忠商事の入社式
中東地域でエネルギー関連事業を展開する伊藤忠商事は、東京都港区の本社で入社式を開いた。新入社員の男性(25歳)は「世界のインフラを支える企業の役割は大きく、責務を全うできる社会人になりたい」と抱負を述べた。2月に始まった米国・イスラエルによるイラン攻撃の影響で、業界では原油製品などの出荷に支障が出ているという。
岡藤正広会長CEOは「1年前には誰も想像できなかった事態だ。とにかく早く戦争が終わることを願う」と述べ、新入社員に向けて「先が見えない中でも、毎日、小さな目標を見つけてクリアすることを心がけてほしい」と激励した。不確実な国際環境下での企業活動の難しさを背景に、新人たちの成長への期待が込められた。
被災地からの復興への誓い
東日本大震災で831人が死亡・行方不明となった宮城県南三陸町では、地元出身の男性(22歳)が町職員の辞令交付式に臨んだ。震災当時は小学1年生で、海沿いの自宅が津波で流された経験を持つ。高校卒業まで地元で過ごす中、「町のために尽力する職員の姿が印象的で、自分もそうなりたいと思った」と決意を固めた。
男性は「復興や防災に関する情報を発信し、町に貢献したい」と意気込み、千葉啓町長から辞令を受け取った。また、福島県双葉町では、町出身の女性(25歳)が辞令交付式に出席した。兵庫県や静岡県などで避難生活を経験し、東京電力福島第一原発事故からの復興途上にある町の現状に「自分も復興に貢献したい」と正職員になることを決めた。
4年前に住民の帰還が始まった双葉町では、居住人口が約200人と震災前の3%に満たない。女性は「町の魅力を伝えていきたい」と力を込め、被災地の未来を担う若者の熱意が感じられた。
信頼回復を目指す福井県の新採用職員
前知事によるセクハラが問題となった福井県では、新採用職員約200人が後任の石田嵩人知事(36歳)から辞令を受け取った。石田知事は1月、前知事の辞職に伴う知事選で初当選し、現職では全国最年少となる。
セクハラ問題を受け、県は知事ら特別職も対象とするハラスメント防止条例を都道府県で初めて制定し、4月1日に施行された。石田知事は「県政には多くの課題が山積している。福井を大きく、飛躍させるために力を貸してほしい」と訴え、信頼回復に向けた新たなスタートを切った。
NTTの104番号案内サービスが136年の歴史に幕
3月31日で136年の歴史に幕を下ろしたのは、店舗や個人宅の電話番号を調べるNTTの番号案内サービス「104」だ。1890年に始まった番号案内の利用件数は、ピーク時には年間約12億件に達したが、近年はインターネットやスマートフォンの普及、固定電話の減少により下火となり、2024年度は約1000万件にとどまった。
横浜市にある「NTTネクシア」のコールセンターでは3月31日夜、社員ら約20人が集まってサービス終了の瞬間を見守った。4月1日午前0時過ぎ、オペレーターが「ありがとうございました」と最後の電話を切ると、拍手がわき起こった。
応対した中島典子さん(67歳)は「お礼を伝えてくれる電話も多く、『そんなに使っていただいたのか』とうれしかった」と感慨深げに語った。NTT東日本の松井聡信・営業推進本部長は「長年続いたのは、おもてなしの心があってこそ。誇りにしてほしい」とねぎらった。時代の変化とともに消えゆくサービスに、関係者の思いが込められた。



