聴覚障害の子どもたちにスポーツの歓びを 大学生が手話で運営するイベントが14回目
聴覚障害の子にスポーツを 大学生が手話で運営するイベント

聴覚障害の子どもたちにスポーツの歓びを 大学生が手話で運営するイベントが14回目

聴覚障害のある子どもは、聴者とのコミュニケーションの難しさから、スポーツを楽しむ機会が限られがちだ。この課題に立ち向かうため、同じく聴覚に障害を持つ大学生たちが主体となって、毎年首都圏でスポーツイベントを開催している。2026年3月19日、東京都品川区の明晴学園で行われたこのイベントは、子どもたちに笑顔を届けるだけでなく、運営する学生たちにとっても貴重な成長の場となっている。

手話でつながるスポーツ体験

2月22日、明晴学園のグラウンドでは、明治学院大学3年の大和田舞香さん(21)が手話と笑顔で参加者を迎え入れた。大和田さんは、首都圏の大学生による団体「わくわくデフスポーツ体験実行委員会」の委員長を務め、前日からの2日間で約140人が参加したイベントをリードした。

イベントでは、陸上、テニス、ビーチバレー、バスケットボール、ダンスなど13の競技が体験でき、昨年11月の東京デフリンピック日本代表選手も多数参加。子どもたちは手話でコミュニケーションを取りながら、スポーツの魅力を存分に味わった。

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都立葛飾ろう学校小学部1年の水越橙利さん(7)は、選手と楽しそうに会話し、一緒に走り回った。母親の友紀さん(39)は「周囲に手話ができる人がいないと、親が付きっきりになりがちです。こうした場は本当にありがたい」と語り、イベントの意義を強調した。

当事者による運営で生まれるシナジー

このイベントは、2013年にろう者だけで運営する場として始まり、今年で14回目を迎えた。目的は二つある。一つは、子どもたちにスポーツを通じた楽しみを提供すること。もう一つは、学生たちが自ら企画し、外部と交渉し、運営までこなす力を養うことだ。

都立中央ろう学校で教えていた手話通訳士の橋本一郎さん(54)は「特別支援学校で育つと、大人数の中で揉まれる機会が少ない。失敗も経験させ、次の世代に引き継いでいくことが重要です」と指摘する。

大和田さんは「大学のゼミでは手話通訳してもらいますが、議論にうまく入れないこともあります。この団体に入ってから、積極的に行動できるようになりました」と振り返り、イベント運営が自身の成長に繋がったと語った。

子どもたちの未来を照らすロールモデル

参加した子どもたちにとって、大学生の先輩たちは憧れの存在だ。東洋大学3年の青木優河さん(21)は、小学生の時にこのイベントに参加し、「大学生になったら実行委員になりたい」と思った。現在は将来、聴覚特別支援学校の教員を目指しており、「子どもたちに『面白かった』と言ってもらえるのが嬉しい。先輩たちのように、良い影響を与えたい」と語る。

家族全員がろう者という大田区の田中里井さん(39)は、娘の瀧果ちゃん(5)と共に参加。以前、水泳教室で断られた経験があるが、教室側が手話を覚えてくれたことで交流が広がったという。「ろう者以外の子とも楽しんでいます。こうしたイベントが続くことを願っています」と話した。

イベントは、聴覚障害の子どもたちにスポーツの歓びを届けると同時に、運営する学生たちの社会性を育み、未来のロールモデルを生み出す好循環を生んでいる。手話を通じたコミュニケーションが、多様性を尊重する社会の一歩を確実に前進させている。

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