静岡の山あい分校、存続の危機…「国内留学」受け入れ拡大で生徒募集の行方は
静岡県浜松市天竜区の山あいにある浜松湖北高校佐久間分校が、深刻な生徒数の減少に直面し、学校存続の危機に陥っている。2026年度も地元の強い要望を受けて生徒募集を継続する方針だが、入学者数が15人を下回った場合、2027年度以降の募集停止が現実味を帯びてきた。分校では現在、全国から入学者を受け入れる「国内留学」の準備を急いでおり、少人数教育や地域との関わりを軸に魅力向上に取り組んでいる。
地元の要望で継続も、厳しい現実が待ち受ける
同分校は、旧佐久間町の中心部に位置し、佐久間、水窪両地域と愛知県東栄町から生徒が通学。天竜高二俣校舎など他の高校へ通うには路線バスで1時間半以上、JR飯田線で約1時間かかるため、地域にとって不可欠な教育機関となっている。2020年には地元NPOなどの支援で寄宿舎を再開し、全国各地からの生徒受け入れを開始した。
しかし、入学者数は2024年度が11人、2025年度が13人と低迷。県教育委員会の基準では、2年連続で入学者が15人を下回ると翌年から生徒募集を停止することになっているが、存続を求める地元の声に応え、2026年度も募集を継続することを決定した。ただし、15人未満の場合は2027年度以降の継続が困難となる見通しだ。
少人数教育と地域連携で魅力を発信
分校の最大の強みは、少人数教育にある。教員1人に対して生徒が3人という授業も行われ、分からない点があれば躊躇なく質問できる環境が整っている。数学を担当する渭原宏美教諭(57)は、「中学の範囲に戻って個別に指導する時間も確保できる。苦手意識を持つ生徒でも、自分なりに考えようとする姿勢が育まれる」と、少人数ならではの利点を強調する。
また、学校は地域との連携を強化し、魅力向上を図っている。住民や企業と協力した授業では、近くにある佐久間ダムを活用し、環境やエネルギー問題について学ぶ機会を増やす計画だ。橋本徳一副校長は、「国公立大学への進学実績があり、就職も可能で進路の幅が広い。将来像が明確でなくても、丁寧に学び直し、自分らしい道を見つけられる環境がある」と語る。
「国内留学組」へのサポート態勢を整備
「国内留学」で県外から入学する生徒への支援も進んでいる。寄宿舎(男子のみ定員約10人)に加え、学校近くの空き家や民間アパートを優先的に借りられるよう市が交渉し、新たに10人分の住居を確保。食事や見回りの態勢づくりも進められている。
地元の大見芳さん(72)は、「県外から来た生徒には、地域の行事に誘い、溶け込めるよう見守りたい。地元の子どもにとっても魅力的な学校になるはず」と期待を寄せる。昨年夏の体験入学には前年比5割増の38人が参加し、関係者は手応えを感じているものの、「実際にはふたを開けてみないと分からない」と慎重な姿勢も見せる。
生徒の声から見える成長の軌跡
磐田市出身で野球部に所属する3年生の青木宰久さん(18)は、「家を離れて成長できた」と実感を語る。「先生の目が届き、友達も近くにいるから励まされた。一度はやめようと思った野球を再開して続けられたのは、みんなのおかげ」と感謝の言葉を口にする。少人数環境ならではの絆とサポートが、生徒の成長を後押ししている様子が窺える。
浜松湖北高校佐久間分校は、山あいの小さな分校が抱える存続の課題と、それを乗り越えようとする地域の努力を象徴する存在だ。少人数教育や国内留学の受け入れ拡大が、新たな活路を見いだせるか、今後の動向が注目される。



