皇室の方々の護衛や皇居、御用邸の警備を担う皇宮警察が、今年5月に創設140周年を迎えた。代替わりに伴う7年前の即位パレードで護衛にあたった護衛官は、「貴重な経験を次の世代にも伝えたい」と後輩指導に励んでいる。
皇宮警察の歴史と役割
皇宮警察本部は1886年、当時の宮内省に「皇宮警察署」として設置されたのが始まり。現在は約900人が所属し、皇居や赤坂御用地のほか、京都御所、葉山御用邸(神奈川県)などの施設警護や、皇室の方々の公務外出時の護衛を担当している。
2019年即位パレードの護衛
2019年11月10日、天皇陛下の即位に伴うパレード「祝賀御列の儀」が行われた。天皇、皇后両陛下は皇居から当時の住まいだった赤坂御所まで約4.6キロをオープンカーで移動。沿道の人々に手を振り、皇后さまは歓声に応える中で涙をぬぐう場面も見られた。
両陛下の車から左後方約5メートルの側車にいたのが、護衛第1課側衛官の広瀬英諭さん(38)だ。「前後左右はもちろん、近年はドローンによる危険もあるため、頭上にも注意を払っていました」と振り返る。
140年の歴史と代替わり
皇宮警察の140年の歴史の中で、代替わりは大正、昭和、平成、そして令和の4回。大きな節目に立ち会った広瀬さんは「護衛の仕事に軽重はない」としつつ、「世間の注目度や関心度は高く、緊張感をもって挑んだ」と語る。
パレードでの護衛には高い技術が求められる。ゆっくりとした速度で隊列を崩さず走るだけでも相当な訓練が必要で、約30分のパレードを無事に終えるため、通勤時に何度か気になる場所を下見したという。
過去の事件と訓練
1990年の平成の即位パレードでは、沿道から爆竹が投げ込まれる事件が発生。上皇さまが皇太子時代の1975年には、ご夫妻で沖縄のひめゆりの塔を訪れた際に火炎瓶が投げられたこともあった。
過去のパレードを経験した先輩から話を聞いたり、最近の要人警護の事例を共有したりして、「緊急事態の隊列変更の訓練などを重ねた」という。
次世代への継承
即位パレード当時は若手だった広瀬さんは、現在は後輩を指導する立場。受け継がれた知識や技術が生きていると実感し、「貴重な経験を次の世代にも伝えたい」と話す。
創立140周年記念展示会
皇宮警察本部は創立140周年を記念し、東京都中央区の日本橋三越本店で5月27~31日まで展示会を開催中。明治から令和までの記録写真約70点のほか、祝賀御列の儀で実際に使われた側車も展示されている。入場無料。30、31日の午前11時と午後2時からは、皇宮警察音楽隊による演奏会が予定されている。



