竹笠が熱中症対策の新たな選択肢に 香川の研究員が実証実験で効果を確認
子どもたちの登下校中の熱中症対策として、伝統的な竹笠の活用が注目されています。香川県環境保健研究センター(高松市)の研究員2人が、竹笠の優れた日よけと通気性に着目し、実証研究を進めています。その結果、野球帽と比較して頭部付近の温度上昇を約2度抑えられることが明らかになりました。
猛暑の経験から生まれた研究のきっかけ
同センター大気・気候変動適応課の課長、本田雄一さん(56)と課員の山本康平さん(38)は、2024年に配属された際、猛暑による熱中症の深刻な被害を目の当たりにしました。県内では1012人が救急搬送され、20人が死亡する事態が発生。山本さんは、小学生の息子が炎天下で片道20分の登下校をし、野球帽をかぶっても汗だくで帰宅する姿に心を痛めていました。
研究テーマを模索していた本田さんに、山本さんがこの悩みを打ち明けたことが転機に。本田さんはかつて農業試験場で働いていた際、竹笠の涼しさに感銘を受けた経験から、「絶対に竹笠がいい」とひらめきました。
実験で実証された竹笠の冷却効果
インターネット上に竹笠の熱中症対策データがなかったため、2人は2024年度から屋外での実験を開始。三脚に竹笠や野球帽をかぶせ、内部温度を測定する試みを繰り返しました。その結果、竹笠は野球帽よりも温度が約2度低く、熱と蒸れを効果的に逃がすことが判明しました。
この成果は昨年秋の県の研究評価委員会で発表され、2026年から3年間、子どもの熱中症対策として本格的な研究が進められることになりました。
段ボールキットで「笠ファッション」を普及
本田さんは、竹笠に対する子どもたちの抵抗感を払拭し、「見慣れた光景」にすることを重視しています。そのため、手軽に作れる段ボール製のキットを開発。型紙を考案し、県内事業者の協力で約5000個分を準備しました。あごひもや留め具を含めても1個約100円で、10分ほどで組み立て可能です。
2人は野球観戦での一斉着用や、瀬戸内国際芸術祭での配布と「笠ファッションショー」の開催など、アイデアを膨らませています。山本さんは素材やデザインの改良を検討し、企業への提案を通じて実用化を目指しています。
香川発の取り組みとして期待高まる
本田さんは、「香川では遍路笠が身近で、竹笠への親和性が高い。地域発のイノベーションとして広がってほしい」と語ります。山本さんも「熱中症対策の新しい選択肢を提供できれば」と意気込んでいます。
同センターは、段ボールキットを使った工作教室を開催する企業や団体を募集しており、熱中症予防の啓発活動を推進しています。



