茨城県内で、行政が提供する最重要インフラの一つである水道事業の経営統合が始動する。現在は各市町村が個別に運営しているが、県を母体とした一体化により、施設の統廃合や薬品の共同発注などの合理化を推進。将来の人口減少に伴う料金収入の減少に備える狙いがある。ただし、当面は市町村ごとの料金体系や会計は現状を維持し、完全な経営統合は2050年ごろを目標としている。
統合の概要と参加自治体
県と市町村は2024~2025年度にかけて「水道事業の経営の一体化に関する基本協定」を締結。隣接する栃木県野木町を含む計27市町村と1水道企業団が参加した。この地域の給水人口は約110万人で、県全体の約4割を占める。統合の受け皿となるのは、県内最大の供給網を持ち、44市町村中36市町村に水道水を供給している県企業局だ。
統合のスケジュールと具体策
県は4月、企業局内に統合準備室を設置。今後、組織体制の構築や資産の取り扱いについて市町村と調整し、2028年度をめどに経営統合を進める。統合後は、検針業務や薬品購入、施設メンテナンスなどを共同発注し、民間委託料を削減。国が推進する統合促進のための交付金も活用しながら、広域での効率的な運用を目指し、老朽施設の更新や統廃合計画を策定する。
料金体系と今後の見通し
水道料金については、急激な変化を避けるため、当面は市町村ごとの現行料金体系を維持する。ただし、統合後は料金変更の際、県企業局を通じて県議会の議決が必要となる。県担当者は「人口減少時代において水道料金の値上げは避けられない。経営統合で運営コストを削減し、持続可能な事業に再編する」と説明している。
参加市町村の判断と背景
統合への参加判断は市町村によって異なる。協定を締結した大子町は「設備の維持・更新に伴う財政負担の軽減や、専門人材の確保が期待できる」と歓迎する。一方、締結しなかったつくば市は「現在稼働中の浄水施設がなく、広域連携のメリットが少ない。当面は単独で事業運営が可能な見通し」としつつ、「市内には上水道未整備地域があり、整備の際に市で自由に決定できなくなる可能性がある」と懸念を示す。北茨城市は「市営の簡易水道や工業用水が統合対象外で、合理化面で課題がある」と説明する。県担当者は「地域事情を尊重し、各市町村の判断をいただいた」と述べている。



