風俗店スカウトグループへの情報漏洩事件、元警部補に執行猶予判決
2026年3月25日、東京地裁(寺尾亮裁判官)は、女性を性風俗店に紹介する国内最大規模のスカウトグループ「ナチュラル」に捜査情報を漏らしたとして、地方公務員法(守秘義務)違反の罪に問われた警視庁の元警部補、神保大輔被告(44)に対し、懲役1年6カ月執行猶予3年の判決を言い渡しました。検察側の求刑は懲役1年6カ月でした。
具体的な起訴内容と情報漏洩の経緯
被告の起訴内容によると、昨年4月から5月にかけて、ナチュラルのメンバーに対し、グループの関係先が捜査用カメラにどのように映っているかを示す画像を送信しました。さらに、同年7月には捜査対象のメンバーの関係先23カ所のリストをグループ側に漏らしたとされています。
検察側の説明では、被告は2023年10月ごろから、警視庁暴力団対策課でナチュラルの捜査に携わるようになりました。そして、2024年5月ごろまでにナチュラルが独自に開発した通信アプリをスマートフォンにインストールし、このアプリを利用して情報を漏洩したと指摘しています。
検察側の主張と被告側の反論
検察側は、被告の自宅などから発見された現金の一部にナチュラル関係者の指紋が付着していたことから、被告とナチュラルとの間に強い結びつきがあったと主張しました。さらに、「次第に取り込まれ、スパイのような行動に出た」と述べ、組織的な情報漏洩の危険性を強調しました。
一方、被告側は初公判で起訴内容を認めつつも、アプリのインストールは捜査目的であり、情報漏洩による対価を得ていないと訴えました。漏洩の理由としては、過去に上司と意見が合わず捜査を外された不満などから自暴自棄になったためと説明しています。被告は起訴内容を認めて反省しており、執行猶予を付けるべきだと主張していました。
判決の背景と社会的影響
この判決は、公務員の守秘義務違反が重大な犯罪であることを改めて示すものです。特に、捜査情報が犯罪組織に漏れることで、捜査活動が妨げられるリスクが高まる点が懸念されます。東京地裁は、被告の反省態度や初犯であることを考慮し、執行猶予を選択したとみられます。
事件は、警察内部の情報管理の脆弱性を浮き彫りにし、捜査官のメンタルヘルスや組織内の人間関係が重大なインシデントを引き起こす可能性があることを社会に問いかけています。今後の再発防止策として、より厳格な情報アクセス制限や職員のサポート体制の強化が求められるでしょう。



