袴田ひで子さん「うれし泣きした」 再審制度見直しに当事者の声を上げる
袴田ひで子さん「うれし泣き」再審制度見直しに声

再審制度見直しに抗議 袴田ひで子さん「当事者の声を聞け」

政府が今国会への提出を目指す刑事訴訟法改正案を巡り、再審制度の見直しに抗議する行動が25日、東京・霞が関の法務省前で行われた。1966年に発生した静岡県の一家強盗殺人事件、いわゆる「日野町事件」で再審無罪が確定した袴田巌さん(89)の姉、ひで子さん(93)らが参加し、制度改正の在り方に強い懸念を示した。

「制度に不備があるからこうなる」

市民団体「再審法改正をめざす市民の会」などが主催したこの抗議行動で、ひで子さんはマイクを握り、自身の経験を踏まえて切実な訴えを行った。「私が33歳の時に事件が起き、再審無罪が確定したのは91歳になってからでした。制度に不備があるからこそ、このような長期化が生じてしまうのです」と述べ、審理の迅速化を図る方策が不可欠であることを強調した。

ひで子さんは、事件発生から半世紀以上にわたる弟の無実を信じ続けた苦難の道のりを振り返りながら、現在の再審制度が抱える根本的な問題点を指摘。特に、再審開始決定後の検察による不服申し立てによって、実際の再審開始までにさらに長い時間がかかる現状を厳しく批判した。

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鴨志田弁護士「改悪の方向に議論」

法制審議会(法務大臣の諮問機関)の部会委員を務めた鴨志田祐美弁護士も登壇し、現在進められている法改正議論について警鐘を鳴らした。「残念ながら、改悪の方向に議論が進んでしまっている」と指摘し、「このまま国会で通らぬよう、私たちは声を上げ続けたい」と決意を表明した。

法制審は先月12日、証拠開示ルールを新設する法改正要綱を平口洋法相に答申した。しかし、再審開始決定に対する検察の不服申し立てを禁止する規定は盛り込まれず、証拠の目的外使用を罰則付きで禁じる規定が設けられるなど、冤罪事件の当事者や弁護士らからは「救済の道を閉ざすものだ」との批判が相次いでいる。

「うれし泣きしました」

抗議行動後、ひで子さんは報道各社の取材に応じ、再審開始が確定した「日野町事件」の故・阪原弘(さかはら・ひろむ)さんについて語った際、思わず笑顔を見せた。「うれし泣きしました」と率直な感情を吐露し、長年にわたる再審請求の道のりがようやく実を結んだ安堵の念をにじませた。

同時に、2018年に大津地裁が下した再審開始決定から、検察の不服申し立てによって7年半もの歳月が経過したことについて、「開始決定が出たならば、さっさと再審を実施すべきです。不服申し立ては禁止してほしい」と強く要望。迅速な再審の実現が、冤罪救済にとって何よりも重要であることを訴えた。

袴田巌さんは1966年の事件で逮捕され、死刑判決を受けたが、再審請求を続け、2014年に再審開始決定。その後、2023年に無罪が確定するまで、実に57年間にわたる闘いを続けてきた。姉のひで子さんはその全過程を見守り、支援し続けてきた存在である。

今回の抗議行動は、単なる制度批判にとどまらず、実際に冤罪の被害を受けた当事者とその家族の生の声を社会に伝える貴重な機会となった。ひで子さんの「当事者の声を聞け」という訴えは、法律改正が机上の議論ではなく、人々の人生に直結する重大な問題であることを改めて認識させるものとなっている。

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