カンボジアで行方不明の大学生、特殊詐欺に巻き込まれた恐れ 福岡県警が注意喚起
福岡県に住む50代の母親が、大学生の息子(20代)が昨年12月にカンボジアで行方不明になったとして、県警に相談していることが明らかになった。息子は海外旅行に出発後、同国に移動してから連絡が途絶え、特殊詐欺などの犯罪に巻き込まれた可能性が指摘されている。県警によると、同様のケースが複数寄せられており、県内の男性約10人が被害に遭っている恐れがあるという。
突如の旅行宣言と不審な連絡
母親の証言によると、息子は昨年12月、突然「旅行に行く」と告げて軽装で自宅を出た。行き先はアジアで、アルバイト先の友人男性と2泊3日の旅程を計画していたという。これが初めての海外旅行だった。出国後、息子からは観光中の写真がLINEで送られてきたが、翌日には「カンボジアにいる」と連絡が入った。不審に思った母親がメッセージを送ると、「心配ないよ」と返信があったものの、スマートフォンの位置情報を確認すると、同国内を移動している様子が確認された。しかし、3日目に電源が切れ、追跡が不可能となった。
友人も帰国せず、甘い誘い文句の背景
その後、息子の友人も帰国していないことが判明。母親が共通の知人から聞いた話では、友人はSNSで知り合った人物から「旅費は会社が出す」「現地には迎えや通訳がいる」などと誘われ、旅先が何度も変更された末、最終的な行き先は「出発の直前に決まった」と説明していたという。県警も同様の情報を把握しており、特殊詐欺の手口として警戒を強めている。
息子は予定日を過ぎても帰国せず、母親は県警に行方不明者届を提出。外務省などにも相談したが、有力な情報は得られておらず、「とにかく無事でいてほしい」と切実に訴えている。
県警の調査と全国的な特殊詐欺の増加
福岡県警によると、直近約2年間でカンボジアで行方が分からなくなった県内の男性は、学生や無職の20~30代約10人に上る。このうち、2人の男子学生(ともに20代)は「テレアポの仕事。月30万円」と誘われて渡航し、1年以上帰国していないケースも含まれている。また、スマホの位置情報が警察当局が把握する特殊詐欺拠点で確認された事例もあるという。
警察庁のデータでは、特殊詐欺の被害額は昨年、全国で1414億円(暫定値)に達し、前年から倍増している。福岡県警は昨年、特殊詐欺に関与したとして計160人を摘発したが、20歳未満が約3割を占めており、若年層の関与が深刻化している実態が浮き彫りになった。
県警幹部が警告する新たな手口
県警幹部は「最近は『闇バイト』ではなく、『費用負担のない旅行』などの甘い誘い文句で海外に連れ出すケースが目立つ。犯罪に加担させられる恐れもあり、都合が良すぎる条件の渡航には注意してほしい」と強調している。この事件は、SNSを通じた巧妙な勧誘が増加する中、個人の安全を守るための啓発の重要性を改めて示すものとなった。



